夢を見た。

昔から、過去の自分の夢を見ることはあった。

けど、今回は、もっと遠い、昔のことのような気がする。

でも、その中の私は、高校生ぐらいの女の子で・・・・・・といっても今も一応なりたての高校生だっけ。

私の記憶にないことばかりだった。

ピアノの椅子に座って、誰かと話してる。 顔は見えない。

『・・・・ねぇ・・・・・は・・・・・の・・・・・・』


自分の声なのに聞こえない。 途切れ途切れで、しかも小さくて。

『・・・・・に・・・って・・・・・・・か・・・・・え・・・・・』


相手の声もますます聞こえない。 誰なんだろう・・・・?

でも、何故か知ってるような、そんな感じがした。








7.悲しき旋律








 ・・・・目の前が、どんどん光で満ちていく・・・・・・・

ダメ・・・・まだ、顔を見てな・・・・・い・・・・・・・・・・・



「・・・・・・・ぅ」

「!・・・・ !」


「っ・・・・マリ、ク・・・・・・?」

あれ・・・・私、どうして・・・・・・・・

「ましゃか、いきなり倒れるとは思わなかったぜ・・・・・・」

倒れる・・・・・私が?

「そういや・・・頭がガンガンする・・・・・・」


「・・・・・今日はもう休んだらどうだ?」

「えっ、でも・・・・・・・」

・・・・・また寝るとか、無理なんですけど。








 これ以上寝たら逆に頭痛がしそうな気がする。

そんなことを思いながらも、私に与えられた選択肢は『寝る』ということしかなかったらしい・・・・・・・・・

寝るまでマリクが見てるってさ。 逆に気になって寝れない気もするけど。

「うー・・・・・」

「さっさと寝やがれ」

「うん・・・・・せめて電気消してよ」

もう夕方だし、電気を消せば少しは暗くなるだろうし。

「仕方ねぇなァ・・・・・ほらよ」

マリクは部屋の電気を全部消してくれた。 ・・・・ま、元から1つしかついてなかったけど。

「・・・・・・・・


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

・・・・もう、気になって寝れないから寝たふりしておこう。 目つぶってりゃそのうち眠れるだろ。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

あれ、なかなか気配消えないなぁ・・・・・・・うーん。

「・・・・・・ ・・・・・・・寝てんのか?」

寝てたら返事しないよね。 というわけで返事しません。

「・・・・・・・・お前は、」

む・・・・前髪弄られた? 顔見たいのかな。

ちょっとくすぐったい・・・・・あとで文句言ってやろうか。 いやそしたら狸寝入りがバレるよな。

「お前は・・・・・・誰なんだ?」

(・・・・・・・!)


え、それって、どういう・・・・・・・

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

ビックリして、起き上がれないまま、マリクは出て行っちゃった・・・・・・

・・・・・私も、前から変な違和感は感じてたわけだけども。

もう・・・・・考えても仕方ない。 暇だし寝よう。















 ・・・・・・また、夢かな・・・・・・・・

『〜〜〜♪』


今度は、ピアノの音が聞こえる・・・・優しい、曲。

でも、何だろう。 何ていうか、懐かしい。 そして、すごくいい曲なのかなって感じる。

ゆったりしてる曲はあんまり好みじゃないんだけど・・・・・・すごく、この曲は心に響く・・・・・・・

だけど・・・・何となく、分かる。 この曲を弾いてる人は、きっとものすごく悲しんでる。

・・・・・・あれ、何で私・・・・・こんなに悲しいんだろう。



 ・・・・・これは、何て曲なんだろう。

今まで映像も音声もかすかにしか感じていなかったのが、急に、鮮明に。

目の前には鍵盤と白い手。 その手が確かにこの旋律を奏でてる。

何ていうか、ゆっくりとしててなめらかな動きだなぁ・・・・私もその気になればできるかな。

でも、いつもの蜘蛛みたいに這ったり飛んだり跳ねたり思いっ切り前のめりになるほど力を入れるような私の弾き方とは大違い。

・・・・・まぁ、曲の違いだろうけど。 今すぐやれと言われたら・・・・無理かも。

・・・・・・・やっぱり、懐かしい。 それに、この曲には特別な何かを感じる。

よく作曲をしてる途中に夢の中でメロディができ上がることはあるけど、今回は違う。

早く、この曲を、自分自身の手で音にしたい・・・・・・・・・・














 「・・・・・・・っ」


朝・・・・ではないか。 もう遅い時間。

電気がついてないから、やけに暗いな。

「・・・・・マリク」

いない。

「・・・・早く、あの曲を」

あの曲を、私の手で。 私の指で・・・・





 「・・・・最初の音は、」

・・・・・・・そう、この音。 次に、左手が・・・・・・

『〜〜〜♪』


出だしを弾いた途端、何も考えなくても、手が勝手に動く。

慣れてもいないし、弾いたこともない。 それでも奏法が夢の中と正確に。

『〜〜〜〜』


・・・・私が聞いたのは、ここまで。

もう一度、最初から弾いてみよう。 何回も、何回も。

『〜〜〜♪』


ペダルの使い方が、いつもと違う・・・・・・

私じゃ、ないみたいだけど・・・・弾いてるのはまぎれもなく私なんだよね。

『・・・・ギィ・・・・』


(ん・・・・・・?)

誰か入ってきた・・・・・・マリクかな。

気配が近づいてくる・・・・・・・・あ。

『ぐいっ』

マリクが顎を軽く引っ張ってきて、同時に曲も止まっちゃった。 まぁ、当たり前か。

「・・・・・お前、」

「・・・・・もうっ、邪魔しないでよ〜」


「・・・・・・・!!」


あれ・・・反応した? 今ののどこに驚く要素があるんだ。

あぁ、怒られたとか思ってんのかな。

「どした? マリク」

「いや・・・・・・」

・・・・・・変なの。

「あ、もう眩暈とか頭痛とかそんなの全然ないからさ、安心して」

「そうか」

私はあの旋律を心に閉まったまま、立ち上がった。




























  悲しき旋律は、何処から何処へ流れるのか





































































  

久しぶりです。 つか冒頭だけ書いて放置してました。
お題ページの骸夢を書いてたのと同じときに結構進みました。 シリアスだと筆が進む(筆じゃない
何か時空が歪んでる気もするけど気にしない!