「ティア、早く行くぞ!」

彼女は私の『トレーナー』、私の主だ。

「あぁ、分かっている」

初めて出会ったときに比べ、ずいぶんと大きくなった。

・・・・・・・・・あの時は、まだ幼い子どもだった。

だが、私はその幼い子どもと共にいつの間にか頂点に立っていた。

 第一印象は、黒い髪と金色の瞳が美しい、純粋な目をした少女だった。

今ではその面影は残っていない。

彼女は・・・・・・・変わってしまった。

外面では明るく振る舞っている。 むしろ今の方が元気だと思う。

だが、内ではきっと、悲しんでいるに違いない。

・・・・・・・そう、あの日から。


 あの日から彼女は変わってしまった。

冷酷というか、半ば狂っているようにも見える。

他人を平気で貶し、罵っている。

私や他の自分のポケモンには、今まで通り優しくしてくれているが。

彼女の変わった理由を知っているのは・・・・・・・・私だけだ。

『こいつは自分の実力がどの程度かも知らずに俺を襲ってきた。 返り討ちにして痛めつけるのは当然だろ?』

『天罰が下ったんだよ。 まぁ下したのは俺だがな』

『・・・・・・・勝つためなら、当然』

何度も何度も彼女は笑ってこう言っていた。

勝利への執着心。

それが今の彼女を支えている。

だが、それ故にあの頃の彼女はいなくなってしまっていた。

だが、私は信じている。

―彼女が美しい限り、彼女の美しい心もどこかに残っている。