今日はホワイトデーだ。
・・・・・ホワイトデー、なんだが。
「ちょっとヒカルー、お姉様に何にもお返しがないってどーゆーこと?」
「姉貴・・・・・」
「あー・・・・さては、あれね? この前来てた超ド級美少女?」
「・・・・・・・・・(ギクッ)」
・・・・・鋭い。
「どーせあんたのことだから、その子へのお返しに必死で、あたしのことなんて忘れちゃったんでしょ」
「・・・・・・・すまん」
「『・・・・・・・すまん』で済むか!! この馬鹿ヒカル!」
・・・・・姉貴の鉄拳制裁が来る。
「・・・・・はぁ・・・・・仕方ないわね、許してあげる」
「え?」
「その代わり・・・・・キスの1つでもしてやんないと、今日中に5倍で返してもらうわよ」
「あ、姉貴・・・!?」
突然何を言い出すんだ、この人は。
「あ、何? もしかしてもうそんなの何でもないわけ? ちぇー、羨ましい」
「いや、そういうんじゃ・・・・・」
「ま、いいわ。 せいぜいラブラブになれるよう頑張んなさいよーじゃっ!」
・・・・・嵐のように現れ、嵐のように去っていった。
『ピンポーン』
いつ来ても、ここは・・・・・緊張する。
別に、超高級マンションの最上階だから、というだけじゃない。
・・・・・その、あいつの部屋、だから。
「はーい・・・・あ、ヒカル!」
「よう」
「どしたの?」
いざ目の前にいると、声に出せない。
こいつは、先月こんなに緊張していたか? いや、してなかった。
「ま、上がって上がって。 飲み物何がいい?」
「あぁ・・・・じゃぁ、紅茶」
「砂糖とミルクも用意しとくからね」
噂によると、こいつの淹れる紅茶はあの聖ルドルフの観月さんをも唸らせたらしい。
あくまで噂だが、俺は好きだ。
「はい、どうぞ」
「あぁ、サンキュ」
一口。 ・・・・・ストレートでもやっぱり美味い。
でも、俺はやっぱりミルクと砂糖を入れた方がいい。
「それで、今日は何の用?」
「あ、あぁ・・・・・それなんだが」
俺は持っていた紙袋からクッキーを取り出した。
「樹っちゃんに習って、作ったんだ。 味は・・・・多分大丈夫だと思う」
「わ、ありがとう!! 食べていい?」
「あぁ」
「じゃ、いただきまーす」
・・・・・持ち方がリスみたいだ。
「はむ・・・・・・んまい! 紅茶にも合うよ!」
「そ、そうか。 それは何よりだ」
「うん。 ありがと」
・・・・・さっきから、姉貴の言葉が頭の中を回ってる。
『キスの1つでもしてやんないと、今日中に5倍で返してもらうわよ』・・・・・・
「・・・・・・ヒカル、どしたの?」
「あぁ、いや・・・・・・・その」
「??」
言い出しにくい。
「その・・・・・ちょっと、いいか?」
「・・・あ、これ? いいよ、どうぞ」
「いや・・・そうじゃないんだが・・・・・まぁ、いいか」
〜今食べてるの、分けてください〜