「バクラ様ぁ〜、まだ着かないんすかぁ〜?」

「うっせぇ。 やる気あんのかてめえは」

「墓荒らしでやる気出るのなんてバクラ様ぐらいです〜」

「いいから俺様にしがみついてな。 落とされたくねぇだろ?」

うー、暑い。 さすがはエジプト。

それにしても私は何でこんなとこで馬に乗って走ってるんだろうか。

突然落とし穴にはまったと思ったら何か金銀財宝的なものの上におっこちて。

そんで目の前にいたこの俺様野郎に拉致られ(?)、『様』付けを強要され。

うーん、ここがエジプトってことしか分からない。

 

 「バクラ様、お水くださーい」

「ねぇよ、そんなモン」

「えっ・・・じゃぁ、早く井戸とか探さないと」

「だから今近くの村に向かってんだろうが」

・・・・・なるほど、見えてきた。 あの様子なら水もあるな。

「早く飲みたい・・・・・」

「ちったぁ我慢しろ。 もうすぐだぜ」

というか、ホントに何で私ここにいるんだろう?

なんで拉致られたんだろう・・・・うーん・・・・・・

「おい、何ボーッとしてやがる」

「え、あ、」

「ほらよ、水だ」

「いただきます」

ま・・・あんなとこで置き去り喰らうよりはマシだと思うか・・・・・・・

 

 「ところで」

「?」

「バクラ様は何で私を?」

「・・・そりゃてめえ」

辺りは暗い、人もいない。 今日は野宿だ。

・・・・・それなのに、助けてくれる人などいるのだろうか・・・・・・?

『ぎゅう』

「んっ!?」

元々近くで寝転がってたのに、無理やり引き寄せられて・・・・いや、抱き寄せられてっていうの?

バクラ・・・・様の顔がすぐ近くで、息遣いが聞こえてくる。

そして耳もとで囁かれた。

 

 

 『てめえを気に入ったからに決まってんだろ?』

 『てめえの白い肌も、青い髪も目も』

 『全部・・・・・・奪ってやるためだ』

 


 ・・・・・・だれか、たすけてください。

 

 

 

(『しあわせめろでいず』 読み切り版)