「ジャック・アホラスはいるかい?」
「・・・・喧嘩を売っているつもりか」
「そうだけど、何か」
世は天下のクリスマスだというのに、何してるんだろうねこいつは。
「クリスマスだね」
「ふん」
「いや、私は別にターキー食いてーとかそんなこと考えてないけど」
沈黙が流れた。
「・・・・ついてこい」
「はい?」
「ターキーだろうが何だろうが、この俺が食わせてやろうと言っているのだ」
「うわージャックの奢りだーイエイ」
棒読みだったけど、嬉しいことは嬉しい。
「クリスマス、か・・・・・」
ジャックがぽつりと呟いた。
私達が座ったのは、丁度イルミネーションやら何やらでいつもより綺麗になっている夜景がよく見える窓際の席。
「ん、美味い。 にしてもよくこんな席取れたよね」
「キングだからだ!」
「叫ぶな恥ずかしい」
こうして見てみると、こいつが私より年上だとは思えない。
確かに、ジャックは大人だ。 大人だけれども。
何か、時々ヘタレてる。
「・・・・ところで」
「ん?」
「お前に渡したいものがある」
「え、何?」
プレゼントかな。 ・・・・私、用意したっけ。
「・・・・これなのだが」
ごそごそとどこかから取り出してきた、小さな四角いケース。
「・・・・・・・・・・」
・・・・・えーっと、冗談でしょうか。
え、何このメッチャ高そうな指輪。
・・・『何これ婚約指輪?』なんて聞いたら『うぬぼれるな』とか言われるのかな。
「手を出せ」
「う、うん」
恐る恐る右手の平を出したら、ジャックに微妙な顔をされた。
「手相でも見てもらうつもりか?」
「はい、そうです」
「・・・・・・・」
やば、ちょっとふざけすぎたかな。
「何だって私みたいなガ・キ!に?」
「・・・・何が言いたい」
「何だよ私と会った時は子供扱いしてたくせに」
実際高校生な年齢だったわけだけど、やっぱりそこを突かれて。
『とっくに大学主席で卒業しとるわ!』って反論したけど。
まぁ・・・今でも多少は子供扱いされてるとは思う。
あっちは20代、こっちは10代。
ジャックの詳しい歳は聞かされてないけど、私は18歳。
酒もタバコもダメ、絶対なお年ごろだし(タバコは死んでも吸わない!
「ガキ、か・・・それでも、俺はお前のことをそれなりに評価していたのだが」
「・・・・・・」
「いいから、黙って左手を出せ」
「・・・・・やだ」
ジャックの表情が固まった。
「・・・・お前、」
「こんな場所で渡すなんてそんなベタな。 せめて人気のない外にしてください、外に」
色んな意味で怪しまれるからね。 ロリコン疑惑とか浮かびそうな感じするからね。
ロリコンの対象になるような年齢でも外見でもないけど。
「・・・・・・・外か。 よし、出るぞ」
「え、早っ」
いや、確かにデザートも食べ終わったけどさ。
まだご馳走の余韻を堪能したかったんだけどなー・・・できそうにない雰囲気だったけど。
「・・・で、改めて聞くけど」
「何だ?」
「それ、何指輪?」
「婚約指輪に決まっているだろう」
で、何強引にはめようとしてるんですかオイ。
「え、私の意志は無視?」
「お前の答えは言わずとも分かるからな」
「すっげー自信・・・・・」
「キングだからだ!」
そこでそれですか。
「・・・・いい加減手を出したらどうだ」
「私の口で返事を言わせてみろっての。 まず用件言えよ用件」
用件って言い方もどうかと思うけどさ。
やっぱ・・・ちゃんと聞きたいわけじゃん。
「む・・・・俺と、結婚してほしい」
「ん、いいよ」
「・・・・・・・・・」
唖然としてる。 ・・・・返事が軽すぎたかな。
「ムードのない奴だな、相変わらず」
「悪かったね」
「・・・・・では」
差し出そうとする前に取られた左手。
指輪をはめるのかと思いきや、ぐいっと引っ張られてそのままキスされた。
「っ・・・・・・」
ようやくジャックの顔が離れたと思ったら、既に私の左手には何とも綺麗な指輪が。
「・・・・・いや、今のは普通にはめるべきだった」
「別に構わんだろう」
「・・・・もう、何も言うまい」
ジャックは電話を取り出して喋ってる。
迎えよこせとか言ってるんだろう。
「ね、ジャック。 1つ言いたいことがあるんだけど」
「奇遇だな。 俺もだ」
「「メリークリスマス、愛してる」」
(DM扱ってるのに5D’s)