数日後。
神の後継者『
』の名は、瞬く間にデジタルワールド全土に広がった。
そして、
もそう簡単には外に出ることは出来ない・・・・・・・
出来ない・・・・・・・・はずだったのだが。
「あー・・・・・・・やっぱ外は気持ちいいなぁ・・・・・・・・・・・」
どういうわけか、
は森の中で森林浴を楽しんでいた。
「まっさかこんな簡単に脱走・・・・・じゃなかった外出できるとは思わなかったぜ〜」
へへっ、と笑いながら
は上を見上げた。
木にもたれかかっていると、だんだん眠くなってくる。
「・・・・・・・・・いっけね、寝ちまったらすぐ連れ戻されちまう」
第2章 1 .Mysterious Forest
数時間前、
は自分の部屋でベッドに寝転がり退屈そうにしていた。
「あーつまんねぇ・・・・・・・・・・・・そうだ」
はふと思いつくと、ベッドから起き上がって扉を開けた。
そして、足音を立てないように、気配を消して出口に向かった。
途中でロイヤルナイツに見つかりそうになったが、物陰に隠れて何とかやり過ごした。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ざわざわと森林の樹木の枝が音を出す。
こんなにゆっくりできた時間は今までになかった。
「・・・・・・・・これはこれで暇だな」
はゆっくりと起き上がり、立ち上がった。
「話し相手が欲しいトコだけど・・・・・・・・あいつら(ロイヤルナイツ)だとぜってー連れ戻されるし・・・・・・・・・・・」
帰ったところで、彼らは忙しくて相手にしてくれないだろう。
「・・・・・・・・・・・眠ぃ」
一言だけ言うと、
は眠気に勝てず、また木にもたれかかって眠ってしまった。
(ここは、何処だ――?)
何もない白の世界。
ただ、自分の姿だけが色を発している。
が歩き出すと、霧が晴れたように景色が見えてくる。
見たことのない空の色。
広々とした野原。
が歩く度に、白い世界は壮大な世界に変化していく。
しばらく歩くと、野原に木の芽が吹き出し始め、歩けば歩くほど木々は成長し、森を形作っていく。
が立ち止まると、周りの景色はフッと消えてしまい、また元の白い世界に戻ってしまう。
(何なんだ、ここは・・・・・・・・)
がまた歩き出すと、今度は違う世界が広がり始める。
今度は泉だった。
青く澄んだ水、そして生い茂る木々。
すると、1羽のハトが
に寄ってきた。
がハトに触れようと手を伸ばした。
「あ」
ハトは光となって消え、泉や木々もまた消えてしまう。
しばらく立ち止まっていた
だが、今度は何が起こるのだろうかと一歩踏み出した。
すると、身体がふわっと浮く感覚がして、視界が一気に青く染まった。
澄み渡る青空、下を見れば小さく見える光の街。
とても眺めのいい場所で、
が動かなくても景色は途切れない。
「・・・・・・・・あっ」
街の広場に、人だかりが出来ていた。
その中心にいたのが、自分だったのだ。
「どうして俺が・・・・・・・・」
光の街にいる自分は、ワーガルルモンと戦っていた。
あの時と同じだ。
そして、街にいる
が金を持って商店街の方向へ歩き出した瞬間、突然景色が途切れた。
一方、
を探しに出かけていたマグナモンが、木陰で眠っている
を見つけた。
「・・・・・・・こんなところにいたか」
マグナモンは、
が眠っているのに気付いた。
すやすやと寝息をたてている
を起こすのは可哀想だと思ったのか、マグナモンは
の隣に座った。
やはり寝顔はまだ少し幼い。
そのために作られたプログラムとはいえ、人間として育った12歳の少女には、イグドラシルの後継者ということの意味がよく分からないだろう、とマグナモンは溜息をつく。
「ん・・・・・・」
がゆっくりと目を開けた。
「・・・・やっと目を覚ましたか?」
「・・・・・・・・あっ!!」
逃げようとする
の腕を、素早くマグナモンが掴んだ。
「どこへ行くんだ?」
「どっ、どこでもいいだろ!?」
「俺はお前を今すぐ連れ戻す気はないぞ?」
マグナモンの言葉に驚いたのか、
は振り返ってマグナモンを見た。
「俺は
を連れて帰れと言われただけだ。 見つけたらすぐ連れ戻せとは言われてない」
「・・・・・・じゃ、どうすんだ」
「そうだな、お前の好きなところに連れていってやる・・・・・・・・・日が暮れるまでには帰るがな」
「いいのか?」
「今回だけだぞ?」
マグナモンは笑った。
「それなら・・・・・・・・・・・」
「・・・泉?」
「そうだ」
「泉ならどこでもいいんだな?」
「・・・・・・多分」
はマグナモンの背に乗り、マグナモンは空へとのぼりはじめた。
なにやら電子的なものが浮かんでいる空だったが、
はこんな景色を見たのは初めてだった。
「しっかり、つかまっていろ」
「あぁ」
そして、マグナモンはすごいスピードで一直線に目的地へ向かった。
「着いたぞ」
「へ・・・・・・・・?」
全く同じだった。
夢の中で見た、あの泉と。
「・・・・・1つ聞きたいんだが・・・・・・」
「? 何だ?」
「お前ここでハト見たことあるか?」
「あぁ、人間界から流れ着いたのだろうが・・・・・・何故知ってる?」
は目を見開き、口をポカンと開けていた。
「
?」
「・・・・・・ぁ・・・・・・な、何でも、ない・・・・・・」
「・・・・・・・お前、夢の中でここを見たのか?」
いきなり本当のことを言われたので、
の身体が一瞬震えた。
「あの森にある木は、近くにいる者の記憶を映し出す木だ」
「じゃぁ・・・・・夢の中でもう1人の俺を見たのは・・・・・・」
「お前を見つけたロイヤルナイツの記憶だろう」
はしばらく黙って、マグナモンに向かって一言言った。
「なぁ・・・ここって面白い世界だな」
それだけ言うと、
は立ち上がって空を見た。
木の枝と空しか見えない。
「マグナモン・・・・・俺、帰る」
「もういいのか?」
「あぁ、知りたかったことも分かったしな」
は微笑んで、マグナモンの背に乗った。
帰るときは空をゆっくり飛んだ。
「なぁ、マグナモン・・・・・このことも森の木に残るんだろ? バレたらヤバいんじゃねーか?」
「問題ない」
「ふーん」
日はもうすぐ暮れようとしていた。
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第2章です。 この話、全体を通してマグナモン中心の予定です。
好きですマグナモン。
昔書いたロイヤルナイツ擬人化夢があるんですが、そこのヒロインは囚われの身でした;
語ると長くなりそうなので、まぁとりあえず第2章始まりということで。