結局、はデュークモンに叱られてしまった。

叱られるといっても、注意を促す程度だったのかもしれない。

その程度で、が引き下がるはずがなかった。

「へへ、俺を甘く見るなよ・・・・・・・」

前々から脱走ルートを探ってはいたが、昨日の件でようやく確実なものとなったのだ。

『コツ、コツ・・・』

(あっ、やべ)

向こうから誰かが歩いてくるのを察知し、は一足早く物陰に隠れた。

足音が離れていくのを確認すると、はもう1度気配と足音を消して出口へと向かった。








第2章 2.Princess Who Escaped








 「くーっ、やっぱ外の空気は美味いな!」

は大きくのびをして、森の中を歩き出す。

とはいえ、森の中もいいのだけれど、いまいち刺激というものがない。

(久しぶりに街にでも行ってみっかな・・・・・あーでも俺道覚えてねーや・・・・・・・)

そして歩いているうちに、いつの間にか森の奥深くに来ていた。

ただ、ザワザワと音が聞こえるだけの、静寂な空間。

(・・・・・・・・・・迷ったか?)

参ったな、と笑いながらはそれでも先に進む。

「今ごろ、皆俺探してんのかな?」

歩くのに疲れ、はどこか休めるところを探した。




 『ヒョコ』

「ん?」

草陰から、1人のデジモンが顔を出した。

薄いピンク色の髪をした、目の大きな小さい子供だった。

頭から白くて細長い耳のようなものが生えている。

愛らしい口元からは小さなキバがのぞいている。

「お姉ちゃん、誰?」

「・・・。 お前は?」

「ボク、迷子」

「・・・・・・名前は?」

「トコモン族のミルだよ」

は、初対面で女だと言われたのが久しぶりなので、気になって聞いてみた。

「なぁ、どうして俺を女だと思ったんだ?」

「だって、とってもキレイだったから・・・もしかして、違うの?」

「いや、俺は確かに女(として作られた奴)だけど・・・・・・」

その時、空に何か光るものが走った。

「やばっ!」

はとっさにミルを抱えて走り出した。

「どうしたの?」

「俺、あいつに追われてんだ」

、悪いことしたの?」

「・・・・・してない」

純粋な子供に対して罪悪感を感じながらもは逃げ続けた。






 「・・・・あっ」

1人のデジモンを抱えて走る少女の後ろ姿を、アルフォースブイドラモンが見つけた。

「ふぅ、やっと見つけたぞ・・・・・」

アルフォースブイドラモンはの前に瞬時に移動し、の目の前に立ちはだかった・・・・のだが。

「うあぁ止まれ止まれ止まれーーーーっ!!!!」




『ドーーーーーーン!!!』




 2人はぶつかった。

とっさにがミルを守ったので、ミルは幸い怪我はしなかったものの、とアルフォースブイドラモンは正面衝突してしまったのだった。

「ってー・・・・・・」

「いたた・・・・、早く帰ろ・・・・・・あれ?」

はまたミルを抱えて走って行ってしまった。

「あっ、待て!」

アルフォースブイドラモンも慌ててそれを追う。

「俺のスピードをなめるなよー!!」

あっと言う間に追いついてしまい、今度こそ捕まってしまった。

「離せー!!」

「全く、昨日デュークモンに怒られたんだろう? 次は怖いぞ」

「お兄さん、誰?」

ミルがアルフォースブイドラモンを不思議そうに見た。

「俺? 俺はロイヤルナイツのアルフォースブイドラモン」

「ろいやるないつってなに?」

「ん? あー・・・・・えっと・・・・・・・」

そしてまた、はミルを抱いて走り去っていった・・・・・・・









 「〜、ろいやるないつってなに?」

「強いデジモンの集まりだ・・・と思う」

とミルは草陰に隠れ、アルフォースブイドラモンが飛び去るのを待った。

「・・・・・どこに行った?」

アルフォースブイドラモンは2人に気付かず、向こうへ行ってしまった。

「へっ、ちょろいな」

「?」

「あ、いや、何でもない」

だが、いつ戻ってくるかも分からない。

だからといっていつまでもここにいるわけにもいかないのだ。

しかも無我夢中で走ってきたので完全に迷っている。

「そういえば、ミルの家ってどこだ?」

「ボク、迷子」

「いやそれはさっき聞いた」

「おうちはないんだ」

寂しそうにミルは呟いた。

「ボクは皆と違うんだ、だから皆ボクのことを嫌がるんだ」

「・・・・・・・・そうか・・・・・・・・・・・でも、俺は嫌がらないぜ」

「ホント?」

「あぁ」

は笑って、ミルの頭をなでた。

「ところで、お前は何がどう違うんだ?」

「うん・・・・・・見てて」

すると、ミルの身体が光り始め、どんどん小さくなっていく。

光が止まると、そこには何とも愛らしい生き物がいた。

上手に喋れないようで、言葉にならない鳴き声を発していたが、やがて元の人間の形に戻った。

「見た?」

「・・・・あぁ」

「ボクは、動物の形になれるんだ」

寂しそうに俯いて、ミルは言った。

「最初はね、皆できることだと思ってたんだ、でも、ボクしかできなかった」

「・・・・・・・・」

「聞いた話によると、これって『戦いやすい姿』なんだって」

(そーゆー風には見えなかったぞオイ)

目が語っているが、ミルは気付かなかった・・・




















 「はこれからどこに行くの?」

「んー、そーだなぁ・・・・・・・・」

は腕を組み考え始めた。

「とりあえずさぁ、お前はどうしたいわけ?」

「え? えっと・・・・・ボクは・・・・・・と一緒にいたいな」

「ふーん」

その時。

『ガサッ』

物音がしたので、はミルを抱いて数mほど一気に後退した。

「こんなところにいたのか。 探すのに苦労したぞ」

困った顔をしたアルフォースブイドラモンが、ここまでやってきたのだった。

「ほら、帰ろう。 皆も待ってる」

「やだ。 俺は狭い部屋でこもってるのは嫌いなんだ」

、どこ行くの?」

アルフォースブイドラモンはミルに気付いたらしく、優しく話しかける。

「どうしたんだ、お前は確かトコモン族だったと思うけど」

「ボク、と一緒にいたいんだ」

「・・・・・・・じゃ、お前も着いてきていいからに帰るように言っておいてくれよ。 場所はそいつのレーダーで分かるから」

アルフォースはのデジトラを見てそう言ったあと、世界樹の方向へ飛び去ってしまった。

「・・・・・ま、とりあえずあっちに帰ればいいってことは分かったな」

「帰るの?」

「さぁな」

はニヤリと笑って、逆方向へ歩き出した。

「せっかく許しをもらったんだからちょっとぐら「ボク許してないよ」

ミルは膨れて、を世界樹の方向へ引っ張る。

「・・・・・わーった、わーったって。 今日は帰るから」

そう言うとは笑って、ミルを抱えた。

「にしても、遠そうだな。 迎えを待つ方が早ぇかもな」

は上を見上げた。

ここだけ、光を遮る物が何もなく、ぽっかりと穴があいているような感じだ。

「迎えに来てくんねぇかな・・・・・」

は心配そうな顔をした。

、悲しいの? そんな顔してるよ」

「あぁ、いや、心配なだけだ・・・・マジで今日帰れるのか」

「ここで待ってたら、迎えに来てくれるの?」

「多分」

は、ミルを抱いたまま寝転がった。

「ほら、お前も寝ていいぞ」

「え、でも・・・」

「だいじょーぶ」

は微笑んで、そしてゆっくりと目を閉じた。






































































  

最後の終わり方がビミョーに怖い。
くりきんのゲームオーバーを思い出すよ。
2章長くなるかな?
バックする人はなので音量に気をつけて。