世界中で人気のカードゲーム、『マジック:ザ・キャサリング』。

ある街の小さなデュエル大会。

『今回の優勝者は、 さんです!』

少女は、その大会で前代未聞の最高記録をたたき出した。

それは、デュエルの時間である。

ほとんど一瞬のうちに、勝負をつけてしまったのだ。

そして、その後少女が大会に出ることはなかった。








第1話 再会








 「今日は・・あの人が帰ってくる日、か・・・・」

歩いているのは、かなり整った顔立ちの美少女。

その綺麗な首には、ビーズで出来た青い天使のペンダントがかかっている。

切れ長の瞳は美しいアイスブルー、髪の毛も真っ青で所々に黒が混じっている。

長い髪を後ろで無造作にしばり、横に垂らした肩くらいまでの髪を触りながら、空港に向かっている。

そんな彼女の容姿からか、人々は彼女をこう呼ぶ。

『青い天使』と。


「デュエル空港は・・こっちか」

歩く人々の視線を釘付けにしながら、人だかりが出来ている方に向かう。

「・・・NAC?」

ボロボロになって自分の横を通りすぎていく青年は、間違いなく自分の探していた人物。

そして向こうには、子供たちが泣いている姿。

何があったのかと近寄ろうとすると、今度は10歳くらいの子供が走り抜けていった。

眉間にしわを寄せ何が何だか分からないといった表情の は、しばらく少年の走り去った方向を見ていたが、自分もそちらへ向かった。









 「あーっ、見て、河原のデュエル広場!!」

子供の叫び声がした。

が振り向くと、さっきの少年とNACがデュエルをしている。

(あいつの顔・・それに髪型・・・どこかで・・・・・・・)

見覚えがある。

しかし、あの少年を見たのは初めてだった。

ほとんどボーッとしながらデュエルを見ていると。

「!?・・・・あのコンボは・・・・・・・」

「天秤とズーランオーブのスーパーコンボだ!!」

は呆気に取られていたが、しばらくするとニヤリと笑い、その場を去っていった。












 次の日。

『カードショップ ころんころん』

がよく行く店だ。

ここにはデュエルをやりに来る子供が沢山いる。

はデュエルはやらず、子供たちのデッキを見たりしている。

「あ・・昨日の」

「ん・・誰だお前」

「私の名前は 、よろしく」

すると、そのそばにいたメガネの少年がびっくりして、そのまま近づいて来た。

「あのっ、ぼくれく太って言います! こっちは勝舞でぼくは勝ちゃんって呼んでます」

「そっか、よろしくな」

「なーれく太、そいつ誰だよ?」

するとれく太は焦って勝舞に耳打ちした。

「?」

勝舞は目をキラキラさせながら を見ている。

「・・あ、ゴメンね、デュエルはできないから」

「えー!?」

残念そうに勝舞は を見上げるが、 はまた『ゴメンな』と言って他の子供のところへ行ってしまった。







 「・・ん? すごい騒ぎだな」

気付けばNACまでいる。

「何の騒ぎなわけ?」

「あ、 さん! 今勝兄ちゃんと知らないお兄さんがデュエルしてて、勝兄ちゃんがすごく押してるんだ!」

は興味を持ち、デュエルしているところへ目を向けると。

『パラ・・・・』

持っていたカードを落としてしまった。

「まさか・・・・・」

カードを拾いながら、 の目は勝舞と戦っている男だけを見ている。

は走ってそちらへ向かった。

確かに勝舞が押している、かのように見えた。

「・・逆転、するかもな」

「まさかぁ、この状況で逆転なんて・・・・・・」

男が髪をどけたと同時に。

「凶死郎!!?」

が叫んだが、その声は黒城の声に遮られてしまった。

そう、暗黒デッキの使い手、黒城凶死郎。


「生きる屍、超動!!」


「やっぱり・・・・・・・・」

一発逆転。

はその場に座り込んでしまった。

「勝舞の手が・・光ってる・・・・?」

かつて、自分が放っていたのと同じ光。

もデュエルをやればその光を放つことができるのだろう。


そして黒城が勝舞にとどめをさした。

はというと、黒城だと分かったときから、だんだんと目に涙が溜まってきている。

「・・凶死郎!!!」

黒城が店を立ち去ろうとしたその時、 が彼を呼び止めた。

「やっぱり・・生きて・・たんだ・・・?」

「・・誰だ、お前」

はショックを受けたのか、そのまま店から走って出て行った。

黒城はそれを気にもせず、店を出た。

























 「うぅ・・グスッ・・・・・・・」

は自分の部屋で泣いていた。

拭っても拭っても涙があふれてくる。

考えてみれば、自分は死んだものだと黒城は思っていたのかもしれない。

でも、自分の名前を聞いたことはなかったのか。

本当に、忘れてしまったのか。

自分だって、黒城が『黒い死神』と呼ばれていることを知っている。

ソレ以前の彼のことも知っているし、彼を死神にした奴も知っている。

なのに、向こうは自分が分からないのか。

「・・散歩にでも、行こう」

やっと涙が止まってきた。

は外に出て、適当に歩くことにした。



 

 「おい知ってるか、黒い死神の・・・」

黒城の噂をしている2人とすれ違った。

その瞬間、 の目にはまた涙があふれ、とっさに走り出して誰もいない裏通りへ逃げ込んだ。

「また・・泣くなんて・・・・・・」

泣いてるところなんか、他の奴等に見て欲しくなかった。

が壁に両手を当て泣いていると。

「・・お嬢ちゃん、何してんの?」

振り向くと、見るからに柄の悪そうな男が3人。

よりも背は高く、体格もしっかりしている(というより太っている)。

「彼氏にでもフラれたのかい?」

「・・・近づくな」

「そんなこと言わないでさぁ・・・・」

大きな手が の細い腕を掴んだ。

「は、離せ!」

「なぁ、これからおれたちと遊ぼうぜ?」

「嫌だったら嫌だ、やめろーーっ!!!




 「・・ん?」

裏通りで女の叫び声がする。

いつもなら気にしないところだが、黒城は何だか胸騒ぎがして声のする方に向かった。

すると、3人の男がさっきの少女を連れていこうとしている。

「お前ら・・何やってんだ?」

「まさか・・・黒い死神!?」

男たちはおびえ、すぐさま走って逃げていった。

「くすん・・・・くすん・・・・・」

その場にぺたりと座り込み、俯いて泣き続く を見下ろし、何を思ったか黒城はその場にしゃがみ の顎を持ち上げた。

「てめぇ、おれを知ってるみたいだな?」

「知ってるもなにも・・お前、凶死郎だろ?」

涙を自分の手で拭いながら、 は無愛想に返した。

「で?」

「ホントに覚えてないのかよ・・・・・」

無理もない。

彼女もまた、変わってしまったから。

デュエルも強くなった。 話し方も性格も変わった。 容姿だって昔よりずっと綺麗になった。



「・・お前・・まさか・・・・・」

「私の名前」

は黙って、裏通りから出て行った。

驚いた表情の黒城を残して。

















































 


誰も書かないような黒城夢スタート(は