「私・・他の2人の看病もあるから・・・」

はそう言ってまずジョーのところに行こうとしたが。

『ガシッ』

黒城に腕を掴まれた。

「行くんじゃねぇ・・・」

ハァハァと息切れがして、汗でびっしょりになっている黒城は、言葉を発するのさえ苦しいはずなのに。

「おれの傍に・・いろ・・・・・」

「でも・・・・・」

「おれに逆らうんじゃねぇ・・・・・・・」

が傍にいると、呪いが弱まり楽になれるのは事実。

だが、黒城は、他の理由でも、に傍にいて欲しかったのかもしれない。








第8話 追憶と想い出と恐怖と旅








 「・・・うぐ・・・・・」

牛次郎が起き上がった。

「な、何しやがってんだ、寝てろ!」

しかし牛次郎は服を着て、杖を支えに出て行ってしまった。

そしてしばらくした後、廊下で叫び声やらすごい音やらが響いた。

「「・・・・・・・・・・・・・・・・(汗」」

バケツマンは会場に走っていった。

「・・・ほっといていいのか?」

はイタ笑いしながら呟いた。

黒城は黙ってを抱き寄せた。

「これで・・・大分楽になった」

「な・・・何して・・・・・・・」

「もう・・・放さねぇ」

そして黒城は、の耳もとで囁いた。

「なぁ・・・本当のことを話してもいいだろ?」

未だに苦しそうにしている黒城の声を聞いて、は心底思った。

無理して欲しくない、と。

「本当って・・・何の?」

「あの日・・・3年前の、あの日だ」

3年前。

黒城が、死神になった日。

「着いてきたって・・言ったよな?」

「・・・なんで、嘘って分かったんだよ」

「・・・お前の嘘なんて、お見通しだ」

「・・・分かった、話す」

黒城は腕に力を込めた。




















その物語は、4年以上前にさかのぼる・・・・・・・・






















 スペインで、2人は出会った。

「・・・おい」

「・・・なぁに?」

真っ青なやわらかい髪をした、可愛らしい美少女。

着るものも粗末で、やせて肌も今と同じく真っ白だったせいか、儚げに見える。

昔のだった。

アイスブルーの瞳は変わっていなかったが、ぱっちりとした目をしていた。

「お前も・・・独りなのか?」

「・・・・・・・うん」

「・・・・・・・・・・・・・・来い」

黒城がの手を引っ張る。

「おれの名前は黒城凶死郎。 お前は?」

「・・・・・・

そして2人は、一緒に暮らしていた。

といっても、家もろくな服もない。

食べ物は全部黒城が盗んできた。

はほとんど隠れて待っていた。

は隙を作ったり、逃げ道を確保したり、そんなことをするくらいだった。

は自分が働いて金を作ろうとしたが、凶死郎は許さなかった。


「・・ねぇ、凶くん」

「何だ?」

「私達・・・ずっと、一緒にいようね!」

「・・・あぁ!!」




そしてある日。

「凶くん、こっち!」

りんごを2つ盗んできた黒城は、がいる下水道に逃げ込んだ。


全ては、そこから始まったのだ。





と黒城は、城に入れられ、きれいな服をもらった。

「おまえたちはワシのペット係として、この城に住むがいい・・・」

2人はハトの世話をして暮らした。

それから、2人のまわりには常に人がいた。

笑いが絶えない、不思議な空間だった。

そして2人は、この城の秘密を、知ることになる。


「ワシらは守る。 嫌われようともさけられようとも・・・どんなことがあっても・・・・・・・・守らねば・・・・・・・・・」

「なら、オレも守る」

「私も、守ります」

悪魔神ドルバロム。

D・Mの闇のカードを守ることが、一族の指命なのなら。

2人は守ると誓った。

「・・凶死郎、 。 分かってくれるのか・・・ワシの心の痛みを・・・・・・!!」

2人は、決闘に出会った。



「凶くん、強いねっ!」

「お前は、やらないのか?」

「私はね、見てる方が楽しいから・・・沢山の決闘を見ると、実際にやるよりいい作戦とかが思いつくようになるの」

この頃から、は未知の才能を持っていた。

沢山の決闘を見た経験。

それだけで、決闘をやらなくても彼女は強くなっていたのかもしれない。

そして、1年後。


「いってらっしゃーい!!」

D・M世界大会。

そこで何が起こったのかは言うまでもない。

「・・・・・・・・・ちょっと寂しいかも」

「なら、お前も行けばよかったんじゃないか」

「だって・・・私は決闘しないもん」

城の皆と話していた、その時。

悲劇は、起きた。








『逃げろ!』



『うわぁぁーー!!!』







悲鳴、悲鳴、叫び声。

「い・・・や・・・・・」

耳をふさぎ、ただ端っこでうずくまっている。

しばらくすれば、ここにいたって危なくなる。

「・・・・・・・・・・・・」

そして、1人の男がの前に立った。

男は鎌を振り上げた。

(あぁ・・・私・・・・・死ぬんだ・・・・・・・・)

怖かったけれど、何故か自然な気持ちでいることができた。

(死ぬ前に・・・・・・凶くんと、決闘・・・してみたかったなぁ・・・・)

男が鎌を振り下ろす。

は目を閉じ、フッと微笑んだ。

その瞬間、男は手を止めた。

「・・・・生かしておいても、いいだろう」

男はを生かした。

何を思ってのことかは分からない。

はその男に、決闘を教え込まれた。

そして、何があったかも聞かされた。




そして、は日本に帰ってきた。

は決闘で強くなった。

全ては、また黒城に会うために。

でも、はある時、決闘をしなくなった。

その理由は、誰にも話さない、はそう誓っていたから。

そのことは黒城には話さなかった。










































 「そうだったのか・・・」

「ねぇ・・幽って・・・不亞家の人間なんじゃ・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

沈黙が流れた。

「・・・・なぁ、このあと・・いや、いつか、2人で・・スペインに『帰ろう』」

が言った。

「帰る・・・?」

「私達、あそこで育ったようなモンだろ・・・?」

「そうだな・・・・」

そして黒城は何を思ったのか、公姫の唇に自分のそれを重ね、相手の口内に舌をすべりこませていく。

「ん・・・・・・・・・!?」

は赤い顔を更に真っ赤にした。

(何なんだこの感じ・・・苦しいし恥ずかしい・・けど)

熱く熱く火照る身体。

息苦しいのに、頭の芯がとろけてしまうようなこの感覚。




(たまんねぇ、ゾクゾクする・・・)

黒城はもう少しこうしていたいと思ったが、公姫の全身の力が抜けているのを感じ唇を離す。

「・・・・やっぱりオレはお前が『好き』らしい」

「・・・・・・はぁ、はぁ・・・・」

の方も息切れがして、惚けたような表情で、瞳は熱を出しているかのように潤んでいる。

それは、いつもの凜々しい顔ではなく、『女』の顔だった。

「・・・びっくりした」

やっとが正気に戻り、言葉を発した。

「でも・・・嫌じゃなかったから」

その時。

「ん・・・・・・・・・?」

呪いが、解けた。

「・・苦しくないか? 呪い、ホントに解けたのか?」

「あぁ・・・・・・」

「・・・そろそろ私は会場に行「逃がさねぇ」

黒城はさりげなく腕から抜け出ようとしたをギュッと抱き締めた。

「おい、ちょ、放せ、誰かに見られたらどうすんだよーー・・・・・」

そうこうしている間にジョーが目を覚ました。

「あいつら・・何やってんだ・・?」

ジョーは何かを悟るとそのまま医務室から出て行った。












 「やった!!!」

勝舞が日本一になった。

「やったわね!!」

「あぁ・・・、そして皆のおかげだ!」

「え、なんでさんなの?」

ミミやれく太が勝舞に聞いた。

「あぁ、コッコ・ルピアのカードはからもらったんだ」

勝舞は観客席の前に立って楽しそうに言った。

「おめでとう勝舞くん、君が日本一だ!!」

そして、ザキラが現れた。

そのことを、まだ未だにベッドでイチャついている(?)2人は知らなかった。



















 「大変だ黒城くん、DMバトルアリーナは「うわーーーーーっ!!!!!!」

審判の男が入ってきたが、状況を見る前にの叫び声に驚いてドアを閉めてしまった。

再度男がドアを開けると。

やっと解放されたが床に座り込んでいたという。

そして黒城もベッドに座っていた。



「・・・変な奴等が現れただぁ?」

は聞き返した。

そしてその見た目を聞くと、2人は硬直した。

「「ザキラ・・・・」」

その時、爆音がした。

「あぁっ、今度は何が・・・・・」

審判の男は出て行ってしまった。


「・・・ザキラはおれが殺る」

「え・・・?」































そして4月。

「ホントに今日・・行くのか?」

「あぁ」

2人はスペインへ旅立つことになった。

「それより・・なんのマネだ?」

黒城は長い髪を後ろで結び、帽子をかぶらされていた。

服装も黒ずくめではなく、上は白い服でネクタイをしている。

ズボンは黒かったが、メガネもかけさせられていた。

「ここまでしときゃ誰も気付かねーだろ」

そして、はと言うと。

長い髪が後ろで無造作に結ばれているのは変わらないが、デニムのキャップを深めにかぶり、男物の服を着ている。

「わざわざさらしまで巻いたってのに・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」



日本からスペインまで15時間。

2人が何をしていたかというと。

「・・・・・・・・・くかー・・・・・・zzZ」

は爆睡、黒城はデッキを作っていた。
































































  

FE編、始まる。 どうしようもなく偽物・・・・・ こんな駄文に付き合ってくださりありがとうございました。