今から何年か前。
「範人、また怪我したの?」
「あぁ、ちょいと擦りむいただけだ」
「・・お願いだから、安心して行かせてよね」
「行くって何だよ、
」
青髪の美少女は辛そうな表情をして、こう言った。
「私・・・・・もうここにはいれないの・・・・・・・・・・」
「・・・マジ?」
「うん・・」
「そんなの、絶対嫌だからな!」
少年は少女に向かって怒鳴る。
「ごめん・・ごめん、ね・・・範人・・・・・」
少女は泣きながら、謝り続けた。
「でも、絶対、いつか会えるから・・・・・・・・ね?」
「納得できねぇよ・・・・!!」
幼い少年はありったけの力で少女を抱き締めた。
涙を流して泣く2人は、いつまでもこの時が続くことを願った。
1.過去再会
「離せ」
「解放して欲しいか?」
少女は片目の男に牙をむく。
「お前が戻ったところで帰る場所など何処にもないのだぞ?」
「それでもいい」
「・・・・・・・・・・いいだろう」
少女は驚いた表情で男を見た。
少女は男に突き飛ばされ、男はこう言って
を外に連れていくようガウストに命じた。
「お前はいずれワタシの元に帰ってくるのだからな・・・・・・・・」
「・・・・・やっぱ、俺が帰る場所なんてねーんだな」
少女の名は
。
地上に戻ったはいいものの、これからどうするのか悩んでいるようだ。
(野宿かよ・・・ったく)
もう空は暗く、星が輝いている。
は何とか寝れるようなところを探したが、見つからない。
「はぁ・・・・・・・・・・・・・」
結局その日は、公園のベンチで寝ることにした。
(やっぱ、寝れねーな・・・・・はぁ)
しかし一向に寝つけない。
「範人・・・・・」
そして、時間が経つとやはり眠気には勝てず、
はそのまま眠りに落ちた。
「うーん・・・・・・・・・・・」
「あら、目が覚めました?」
聞き慣れない声がして、
はベッドからガバッと起き上がった。
「・・・・・・・・えーと」
自分の隣でにこにこしている女性を見て、
の顔が引きつった。
お婆さんだったが、若々しくて、上品な女性だった。
「たまたま散歩をしていたら、あなたを見つけたのよ」
「はぁ・・・・・・・」
「お名前は、何て言うのかしら?」
「・・・・・・
といいます」
そうなの、と頷きながら、お婆さんは思い出したように言った。
「そうそう、私の名前は
真智子っていうんだけれど・・・・・・あなた、何で公園のベンチなんかに寝ていたの? 家出でもしたのかと思ったわ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
否定したいところだが、他の理由が見つからない
はますます顔を引きつらせる。
「ねぇ、何で公園で寝ていたのかしら?」
「・・・・・・・・・・・・・・いや、確かに家出と言えないことはないけど・・・・俺の場合『家』じゃないっつーか・・・・・・・・・・・」
「ご両親は?」
「・・・・・・・・・・いないです」
は目を伏せて言った。
「まぁ・・・・・・・・・これからどうするの?」
「わかんないです」
「お家は?」
「ないんです」
の頭の中では、あの悲惨な光景が何度も繰り返される。
暴力、暴言、自分の頬を伝う涙。
「・・・・・・・じゃぁ、帰るところがないのね?」
「はい」
「だったら・・・
ちゃん、私と暮らさないかしら?」
「・・・・・はいぃ!?」
は思わず声を上げた。
「いや、でも・・・・・・・」
「大丈夫よ、今私一人暮らしで・・・・
ちゃんがいた方が、にぎやかで嬉しいの」
「は、はい・・・・・だったら、お願いします・・・・・・・・・・・・ご迷惑でなければ」
つい空気に流されてしまい、
は声をだんだん小さくして答えるが、真智子は嬉しそうに微笑んだ。
「これからよろしくね」
「はい・・・・・・・・・・よろしくお願いします」
(・・・・・いつかは、ちゃんと話さねーとなぁ・・・・・・・)
翌日、
は目覚めると、着替えて部屋の外に出てみた。
「・・・・にしてもやっぱこの家結構広いよなぁ」
見た限り部屋なんて10以上ある。
そして洋風の、かなり広い庭まで。
そして
の部屋は庭の見える南向きの部屋。
客室として使われていたため結構広く 、豪華な部屋だ。
一人暮らしには広すぎる家だと
は思ったが、事情があるのだろうと
は何も言わなかった。
家具も揃っていて、
がベッドに恐る恐る寝転がろうとしたその時、部屋に真智子が入ってきた。
「
ちゃん、外に行かないかしら?」
「えっ?」
「服とか必要でしょう? あと、正式に私の養女として家に迎えなくちゃね」
は真智子に連れられて、まず買い物に行って、そのあと正式に
家に戸籍を移すことになった。
「あれとこれと・・・・・・・」
「・・・・・・すいません、そんなに買っていいんですか」
「いいのよ、洋服は沢山必要でしょ?」
それから市役所に行ったり、買い忘れたと言ってまた店に戻ったりして、大分時間がかかってしまった。
「じゃぁ、ゆっくり休んでね」
「はーい」
やっと家に帰ってきて、
は慣れないベッドに転がった。
ふかふかして気持ちいい。
は真智子の言葉を思い出した。
『学校はどうするの?』
通うとは答えたものの、ずっと学校には通っていなかったので、ランドセルなんてものはない。
もう6年生だし、今更ランドセルなんてものを買うのもどうかと思う。
というわけでリュックで通うことにしたのだが。
「・・・・・馴染めっかなー」
人と付き合うことが最近なかった
は、正直不安になる。
学校には明日から通うことになった。
「ふぅ・・・・・・・・・・」
は、その日はゆっくり休んで明日早起きすることにした。
「
ちゃん、行くわよ」
「はーい」
タクシーに乗って、
と真智子は学校に向かった。
「えーっと、
ちゃんが入るのは6年1組なのね」
「では、
さんは私が教室に連れていきますので」
を連れて、教師は教室に入ってきた。
「えー、転校生を紹介します」
それと同時に教室がざわめき始める。
「静かに! では
さん、どうぞ」
(うわー何か緊張するー)
は教室のドアから入ってきて、教師の隣に立つ。
「
です、よろしくお願いします」
はぺこりと頭を下げた。
そして顔を上げたその時。
「!?」
後ろの方の席にいた、見覚えのある人物。
(
!?・・・・まさかな)
範人は、それが昔別れた少女だとは、思わなかった、否、思えなかった。
全然昔の面影が残っておらず、唯一同じところと言えば髪の色と髪型くらいの
では、まだ気付かなかったのだ。
第一苗字だって違うし、唯一同じ髪の色だって、今では黒いメッシュが入っている。
「では、範人くんの隣に座ってください・・・・おや、どうしましたか?」
「あ、いや、なんでも・・ないです」
(やっぱ、範人なんだ・・・・・・)
は範人の隣に座った。
「それでは、授業を始めます。
さんはさっき渡した教科書を使ってください、ではまず国語から・・・・・・・」
今日は音読の授業をやるみたいだ。
「では
さん、34ページ2行目から読んでください」
「はい」
は若干棒読み気味で文章を読んだ。
「はい、そこまで。 ここで主人公の心情が分かる一文は・・・」
はチラチラと隣を見ながら授業を受けていた。
時々範人とも目があった。
お互いに、隣を見ていたからである。
「おや・・・・・チャイムが鳴りましたね、ではこれで国語を終わります」
「起立、礼」
授業が終わると、
はお約束の質問攻めをくらった。
「ね、どこの町内なの?」
「・・・・風山町だけど」
「すごーい、高級住宅地じゃん!」
は少し居心地悪そうに答えた。
それに気付かず生徒(主に女子)達は質問を繰り返す。
どこから来たかとか、前の学校のこととか。
だが、
に答えられる内容ではなかったので、適当に『北海道』と言っておいた。
学校のことはいたって普通だったと答えた。
そして授業が終わるたびに質問攻めを受け、学校が終わった。
「あれ、どうした?」
は放課後に範人だけ残っているのを見つけ、声をかけてみた。
「あぁ、クラス委員の仕事があって・・・・・・」
「・・・・・・お前がか」
範人は
が自分を知っているような感じだったので、聞いてみた。
「えーっと、
さん、でしたっけ」
「・・・・・・くす」
が突然笑い出したので、範人の目は点になった。
「お前そのしゃべり方似合わねーし!」
口元を押さえて笑う
を見て、範人はもしかして、と思った。
「・・・範人、俺のこと覚えてるか?」
「・・・・・・・やっぱり、
、なのか?」
「苗字は違うけどな」
は鼻で笑って、窓の外を見た。
「この辺も変わっちまったな・・・・・」
範人が
に触れた。
その瞬間、
の瞳が微かに潤む。
「範人・・・・・・・・範人って、ハンターなのか?」
「なっ・・・!?」
範人は驚いて
を見た。
「・・・・見たんだよ、お前がガウスト使ってんのをさ」
「あ・・・・・・えーっと・・・・・・・・・・」
「なんでガウストを知ってんのか、だって?」
は悪戯っぽく笑った。
「・・・・・・・・・・・・・見えるからだよ」
「何が」
「ガウストが、この目で」
範人は固まってしまった。
「じゃ、俺は帰る」
リュックを背負い直し、
は教室を出た。
(・・・性格変わったなぁ、あいつ)
「ただいまー」
「あら
ちゃん、お帰りなさい」
は自分の部屋でリュックを下ろし、真智子のいる部屋に戻った。
「学校はどうだったのかしら?」
「・・・・・昔の友達に会えた」
「まぁ、よかったじゃない」
真智子は機嫌がいいようで、自然と
も表情が緩む。
「ちょっと散歩に行ってくるから」
「そう、気をつけてね」
は家を出ると、まず範人を探した。
範人の家の周辺を探してみたが、見つからない。
「・・・あ?」
オレンジ色のガウストを見つけたので、近寄ってみる。
「あ、丁度よかったチャイ!」
そう言ってガウストは
の腕に飛び込んでくる。
「来るな来るな来るな・・・・・」
「・・・・・どうしたんだ?」
(こいつ、もしかして・・・・・)
その時。
「よォ」
「ん?・・・・・うわっ!」
振り返るとそこに範人がいるので、
は思わず声を上げた。
「何だよ、急にデカい声出して」
「いや普通驚くだろ・・・・ってお前の後ろにいる馬鹿でかいのは何だよオイ」
「お前こそその抱いてるのは何だよ」
範人の後ろには巨大ガウスト、
の腕にはチャイドラン。
「いやー、そんなの釣るなんてさすがだなー」
「それよりそのガウストを渡せ」
「あ、いいけど・・ほら」
「ダメダメダメチャーイ!!!!」
チャイドランは暴れるが
はがっしりと手に持って範人に渡す。
「おい暴れるなよ、こっちもお前と範人が組まないと困るんだぞ」
「?」
「いや、こっちの話」
は焦った。
「捕まるもんかチャイ!」
チャイドランは範人の手を擦り抜け、逃げてしまった。
「あ、待てコラ!!」
範人もそれを追う。
「あ、ちょ・・・!!」
は1人取り残された。
「・・・・・・・そういや、何で俺範人を探してたんだっけ」
はぽつりと呟いた。
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以前書いた範人夢を最初の方だけ文章コピペして少しいじってみました。
ガウスト見えるという設定も同じですが、明確な理由を今回設けてみたり(ぁ
とりあえず、『GAUST GIRL』始動。