「ヒョウタ」
「ん、何だい?」
彼女の名は。
ボクよりも年下なのに、シンオウリーグ現チャンピオンという称号を持った女の子だ。
ボクがちゃんと初めて出会ったのは、何年か前。
トレーナーになりたてのちゃんと、まだ経験の浅かったボク。
今だってまだまだ未熟だけれど・・・・・・・・
「突然だけど記念っていいよね」
「・・・・・・・・・また突然だね・・・・・・・」
・・・・・無邪気なのはあの頃から変わってないね。
「だってさ、」
記念日
「記念って、何かいい響きじゃん? 記念に何か残せるって最高だよな」
「どうして、そう思うんだい?」
「それを見るだけで、その時の思い出が鮮明に蘇るんだ。 あー、あの頃はこんなだったなー・・・・・とかさ」
それだけじゃなくて、とちゃんはボクの横に置いてあった化石に近づいてきた。
「化石なんかもそうだと思うよ、確かに大昔にはこんなポケモンがいたんだよ」
「そうだね」
「確かな証を残すことができるんだ、何かいいじゃん」
・・・・・・・ちゃんは不思議な女の子だと思う。
これで結構頭とかはいい方らしいんだけれど、何だかほんわかした雰囲気を持っている。
確かにちゃんは可愛いけど、それだけじゃなく、『人を惹きつける力』を持ってるのかな。
「ヒョウタ?」
「あ、いや、何だい?」
「ん、ちょっとボーッとしてたからさー」
ところで。
ちゃんは明日が何の日なのか気付いていないみたいだ。
まぁ今までも言ってみたことはないし、意識もしてないんだろうけど・・・・・
がトレーナーになった日は、毎年祝ってあげてるしね。
「記念かぁ・・・・・・」
「そ、記念。 記念リボンも同じだよね」
・・・・・・あぁ、忘れてた。
ちゃんはリボンを集めるのが趣味なんだっけ。
もうシンオウのコンテストリボンは全て持っているらしい、やっぱりちゃんはすごいね。
いつか、『この世の全てのリボンを集めてやる!』って言ってたっけ。
『私は、世界に認められるトレーナーになる』
ちゃんがチャンピオンになる前、よくボクのところに来ていた時に言っていた言葉だ。
・・・・・・・世界、か。
『私、世界に名を残すんだ』
ホントのところ、君はもう残してるよ。
ボクという世界は、君でいっぱいなんだ。
ヒョウタと別れて家に帰ってから、私は考えてた。
もう、チャンピオンになって・・・・いやヒョウタと出会って何年経っただろう。
あの頃ヒョウタは若かった、そりゃもう・・・・今トバリのジムリーダーやってるスモモちゃんの方が若いんだろうけど。
もちろん私も今のスモモちゃんとあんま変わんない歳だったよ。
ヒョウタと出会って、1年くらいでチャンピオンになった。 チャンピオンになって何年か経った。
私がトレーナーとして家を出た日だって祝ってもらうのは毎年のことだ。
何かいろんな人に祝ってもらってるけど、その中でも特にヒョウタ。
まるで自分のことみたいに喜んでくれるんだけど・・・・
その日から数日後、必ずちょっと様子がおかしくなるんだ。
理由は分かってる。 私とヒョウタが初めて出会った日だから。
私は敢えて言わないでおいたんだ。
・・・・・・この日を祝うのは、私が世界に認められるトレーナーになってから。
そう決めてから、ずっと黙ってた。
ヒョウタに比べれば私なんてまだ若輩者だし、まぁ2、3歳しか変わらないけどさ、そんな私がチャンピオンだなんて恐れ多い・・・・・・・・・・
そんな私の我侭だ。
けど、今はまだ『シンオウ地方』の中でのチャンピオンってことで。
世界とはまだ遠いんだ。
せめて、強さだけじゃない何かも極めようと思って出てみたコンテスト。
今私はチャンピオンであり、トップコーディネーターでもある。
でも、まだ足りない。
(世界に認められるには、まだ、足りないよ・・・・・・)
明日が、ヒョウタと出会った日だ。 でも、私はまだ・・・・・・伝えられない。
ヒョウタがこのことを知ってて毎年気にしてたって、ヒョウタは多分奥手だから言い出しては来ないだろう。
・・・・・・・いつか、私が世界に認められ、世界に通用するトレーナーになったら、この思いを伝えよう。
その時、私は・・・・ヒョウタに相応しいような女の子になってるのかな。
「ごめんね、ヒョウタ」
翌日。
「ちゃん、おはよう」
「ん、おはよ」
朝からヒョウタのところへ遊びに行った。
遊びに行ったっていうか、仕事の見学。
でも・・・・・・・・・・・・・・・・・
必ずヒョウタはこの日仕事を休む。
そして、私とずっと一緒にいるんだ。
「今日は、仕事休んだんだ」
「ふえ?」
あれ・・・・・いつもは触れてこないはずなんだけどな。
「君に、伝えたいことがあってね」
「え・・・・・・・・」
「今日は、ボクと君が・・・・・・・・・・・・・」
『バッ』
・・・・・・・・・・・・・・気がついたら、その場から走って逃げてた。
「どうしよう・・・・・・・・」
嫌われた、かな・・・・・・
「・・・・・・・
ちゃんッ!!」
「!ヒョウタ・・・・・・・?」
『ぎゅっ・・・・』
振り返った瞬間、ヒョウタに抱き締められた。
「へ・・・・・・・」
「ちゃん・・・・・・・今日は、君とボクが初めて出会った日だ」
あ・・・・・・・言われちゃった・・・・・・・・・
「だから、今日・・・・・・・どうしても伝えたいことがあってね」
「・・・・・・・・・よ」
「え?」
「・・・・・・ずるいよ」
気がついたら、私は泣いてヒョウタに抱きついてた。
「すごいトレーナーにっ、なるまでっ、我慢っ、してたのにぃっ・・・・・・!!」
「ちゃん・・・・・・いいんだよ」
「ん・・・・・・・・・・」
「ほら、涙を拭いて」
差し出されたハンカチを受け取って、私は涙を拭いた。
・・・・・でも、止まらない。
「ちゃん・・・・・・・・好きだよ」
「ヒョウタ・・・・・・・」
「君は君のままでいい、ボクに気を使う必要なんてないよ」
そう、君は君のままで。
「でも、私もっとすごいトレーナーになって・・・・・ヒョウタの・・・・・・」
「そんな必要、ないよ」
無理する必要なんてどこにもない。
「君がいるだけで、ボクは嬉しいんだ・・・・・・・・好きだよ、誰よりも」
「うぅっ・・・・・・・ヒョウタァァァ!!」
「ま、また泣いちゃったよ・・・・・・」
・・・・・・まぁ抱きついてきたのは嬉しいんだけどね。
「・・・・・・さてちゃん、今日は何の日かな?」
「んっ・・・・私とヒョウタが初めて出会った日・・・・・・」
「はい、よくできました・・・・・じゃぁお祝いに、これからどこかへ行こうか」
ボクはもう一度ハンカチを差し出そうと思ったけど、ハンカチを持ったままちゃんの涙を拭いた。
「うん・・・・・・・」
「・・・・・・・あぁ、それから」
「今日から『
』って呼んでいいかな?」
『X月 ○日 ヒョウタとの出会い記念日 呼び捨て記念日 初デート記念日』
「・・・・・・・あぁ、いいよ・・・・
って、呼んで」
『
の一言日記・・・やっぱ記念って何かいいよね』
10000ヒットフリー夢ですw
今回はジャンルを変えてみました、ヒョウタです。
テスト近いというのに書いてました・・・・・・
何やってんだろ、私!!
どうぞご自由にお持ち帰りください。