「……何だこれ」
ヴァリアー本部の談話室で見つけた一つの眼鏡、赤いフレームについている怪しげなダイヤルに、度が入っていないレンズ。一体誰の持ち物なんだろうか。幹部の中で眼鏡かけてるやつなんていないし、サングラスかけてるやつや目隠ししてる奴は多いんだけど。
最悪、ヴァリアー一のマッドサイエンティスト、の発明品かもしれない。あいつが作った代物は危ない上にかなり怪しい、出来れば関わりたくない代物ばかりだ。この前なんて、実験体にされてしまったレヴィの髪色が変わりっぱなしで、3時間治らなかったからな。
「あっ、あった俺の眼鏡」
噂をすれば現れやがった。
「やっぱりお前の発明品か」
「発明って物じゃないよ、ただの暇つぶしに作った物」
「……ちなみに、どんな奴だ?」
「運命の赤い糸が見える眼鏡」
「それを暇つぶしと言うのか己は」
ある意味すげえ。
「かけてやれ」
「あっ、おい!」
の制止を無視して眼鏡をかけてみると、本当に見えた。室内を縦横無尽に走り回る幾筋もの赤い線が。これが噂に聞く『運命の赤い糸』かー、何か本部にいる人数よりも糸の方が多い気がするんだが、それは気のせいか?
「世界中の糸が見えるからな、ちょっと貸せ」
が手を伸ばしてフレームについているダイヤルを回すと、糸の数がぐっと減った。
「おおすげ、たまにはお前もいいもの発明するじゃんか」
「たまには余計だ」
いや本当にこれいいや、丁度いい暇つぶしが出来たし。
どれか適当な糸を追いかけてみようかと考えたとき、ゆらりとの背後に人影が現れた。
「こんな所にいやがったか、このカス」
「げっ、ボス……」
不機嫌が頂点にまで達しているのが目に見えて分かるボスに肩を掴まれて、の肩が跳ね上がった。ボスはに敵わない&苦手な数少ない人物なので、無意識に顔が青ざめている。
「人が呼んでるのに道草とは、いい度胸だな……」
「いや、それはそのー……」
「じゃっ、オレこの眼鏡で遊んでくる」
「おいコラ待てえ! お前そんなにアクティブなわけないだろ!」
が何か言ってるが気にしない、と言うより雑音として聞き流そう。連行されるとボスの2人を見て、2人から伸びている赤い糸が互いに繋がっていることに気付く。後でこれをネタにしてからかってやろ、にだけ(ボスをからかうほど命知らずじゃないので)。
よし、じゃあレッツ……
「、お前何してんだぁ?」
ゴー、と行こうとしたのだが、スクアーロの登場によってくじかれる。
「どうしたぁ? 眼鏡なんかかけやがって」
「の発明品」
かけてみるかと問えば首を思いっきり左右に振られた、これでも奴の発明品がどれだけ恐れられているのかよく分かる。
「赤い糸が見える眼鏡だって」
「あいつは毎回下らん物を発明するなぁ……」
「そーだな」
ちらりとスクアーロの左手を見て糸があることを確認し、にやりと笑う。
「スクアーロの糸の先確かめてやれ!」
「う゛お"ぉい! 何考えてんだてめえ!」
糸を掴んで勢いよくダッシュ、当然スクアーロはそれを阻止しようと追いかけてくる。それから逃げつつも糸を辿って階段を飛び降り左に曲がる、廊下の反対側からベルが歩いてくるのが見えた。
「何してんの」
「スクアーロで遊んでる」
「うししっ、スクアーロだっせー」
「う゛お"ぉい! うるせえぞぉ!」
あー、スクアーロって本当からかいがいがある。
しばらく廊下を走っていたのだが、糸が左に曲がったのでまた階段を駆け上がって左に曲がる。が、元の場所に戻ってきたため思わず足を止めた。
「あれ、」
何でだろう、と首を傾げる間もなく後ろから怒鳴り声。
「う゛お"ぉい! 急に止まんじゃねえ!」
「――げ」
激突。
転倒。
スクアーロを下敷きにして(させて)倒れたから大したことなかったものの、頭ぶったし眼鏡飛んだ。
「ってえ、何しやがる!」
「が急に止まるからだろうがぁ!」
「人間だから急ブレーキぐらいかけやがれ!」
「あ"あ"!? 大体てめえが――」
「何してんだあいつ等」
やっとボスから解放されて廊下に出てみれば、大喧嘩しているスクアーロとが目に入った。2人揃って床に倒れて上体起こして、端から見れば誤解する格好だぞ。
「あっ、俺の眼鏡」
乱暴に床に放り出しやがって、デリケートなんだぞこいつは。
目にかけて壊れてないか確かめる、よかった変なことにはなってないな。
「――おっ」
「どうしたのちゃん、ってあの2人喧嘩中?」
「ルッスーリア。夫婦喧嘩中だ、放っておこうぜ」
の糸とスクアーロの糸、互いが繋がっているのを見て小さく笑みを漏らした。
一本の糸で繋がっている私達
けれど恥ずかしくて言葉が出ない
(喧嘩するほど仲がいいってか!)
☆☆☆☆
一緒にリレー小説を書いている相沢あずみ様から。
リンクページからどうぞ。
11万打感謝企画でリクして、書いていただいたものです。
ありがとうございました!!