ここに物好きな女がいる。 名前は・・・・・・ 、といったな。

敵であるはずの俺に、何の戸惑いもなく近づいてきやがる。

「マリクー」

「・・・・・・・・・」

「おーい、マ・リ・ク!」


「・・・・・・何だよ」

こんな夜遅く、しかも強い風の吹いているバトルシップの屋上になど足を運ぶ奴は、物好きな奴しかいねぇだろう。

・・・・・・・無論、俺も含めてな。

「なーんだ、返事できるならさっさとしなよ」

「うるせぇ、黙りなァ」

「・・・・・・・・・」

こういう時には素直に俺の言うことを聞く。 だが、しばらくすればまた一方的に話しかけてきやがる。

「もうすぐだね。 組み合わせ、いつ発表されるんだろ」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・マリク?」

俺はこいつが理解できない。 ・・・・・どうして、俺に関わろうとするんだ?







 「・・・・・貴様、」

「ん?」

「俺が・・・・憎くねぇのかよ」


「・・・・・・・・・」

俺はこいつのトモダチとやらを数人闇送りにしているはずだ。

そして、俺は紛れもなく遊戯達の敵であり、 は遊戯の仲間だったはず。

「・・・・・・・・無理だよ」

「はぁ?」

いきなり何言ってやがる。

「私が、マリクを憎む・・・? そんなの無理。 絶対無理だよ・・・・・・!!」


「・・・・・・・・・・

「確かに、マリクは舞さんや、私の友達を・・・・・・・でも、それでも、」


「・・・・・・・・・・・・」








 チッ・・・・こいつにはいつも調子を狂わせられる。

「これ以上、俺に関わるのはやめておいた方が身のためだぜェ? 俺は貴様等の敵だ・・・お前が俺のことをどう思っていようとなァ」

「そっ・・・・そんなこと言わないでよ・・・・!!」


「!!」

「・・・・・・・頼むから・・・・・・そんなこと、言わないで・・・・・お願い・・・・」


・・・・・・どうしてこいつはこれくらいで泣くんだ?

他の奴の苦しむ顔は大いに見モノだが、こいつの泣き顔だけはどうも気に食わねぇ。

こいつは、俺にはないものを持っている・・・・そんな気がする。

「マリクは・・・・・・・・・・・私なんかいない方がいい?」

「なっ・・・・・・・貴様・・・・・・・・!!」


「私がマリクの邪魔っていうなら、私はもうここには来ないよ・・・・・・・それでマリクがいいんなら」

「っ・・・・・・・!」


畜生、俺は何であんなことを言ったんだ・・・・・・後悔ってのを初めてしたぜ・・・・・・

「じゃぁ、マリク・・・・・・・おやすみ」

「チッ・・・・・待てよ」

走って俺の横を通りすぎていこうとした の腕を、俺はとっさに掴んだ。

・・・・・・・自分でも、何故そうしたのかなんて分からねぇ。

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
















 「行かせねぇ」


「えっ・・・・・?」

「もうさっきみてぇなことは言わねぇよ。 ・・・・・・・・俺といろ」

そう言って抱き寄せたら、 の方も俺に抱きついた。 ・・・・・・・悪くねぇ。

「マリク・・・・・・・・?」

「その代わり、お前は一生俺から逃げられねぇ・・・・・・・それでもいいんだな?」

「・・・・・・・うん」

「クク・・・・・まぁ、答えを聞かなくてもそうするつもりだったがな」

そう言って髪を撫でてやったら、 の心臓の音が大きくなるのを感じた。

・・・・・・・これくらいで顔を真っ赤にするなんざ、話にならねぇなァ?

「おい、こっち向きな」

「えっ・・・・・・」

「早くしろよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

何だ・・・・・・俺に顔を見られたくないってかァ?

「クク・・・・・・・素直に言うことを聞けばよかったのになァ」

「っ!?」

無理やり唇を塞いでやったら、 の奴抵抗しやがった。

いくら必死にもがいたからって、俺に勝てるとでも思ってんのかァ?

「んっ・・・・・はぁ」

「クク、どうだ? お味の方は」

「・・・・・・・・・も〜、マリクのバーカ」

「・・・・・・・貴様」

「あ、冗談だから、ね、うん・・・・・・だから勘弁してよー!



















 物好きで、泣き虫で、馬鹿な女。

だが、そいつは俺にとって、たった1人の大切な女だ。

俺の闇を照らす、唯一の光。

「ねぇ、マリク」

「あァ?」

「・・・・・・・・・・絶対、絶対戻ってきてよ?」


「・・・・・・『勝て』じゃねぇのかよ」

すると、 が俺の服を掴んだ。

「私、マリクがいればそれでいい」

「・・・・・・・・・・・・・」

「だから、どこにも行かないでよ・・・・・約束、だからね」

・・・・・・俺は・・・・・・・・・・・」


いつ消えちまうかも分からねぇ。 所詮は俺も主人格が生み出した存在だ。

それでも、お前は俺にそんなこと言うってのか・・・・・・・?

「マリクはマリクだから・・・・・・私は、あなたが好きだよ」


「・・・・・・・おい、今何つった」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

まぁ、ちゃんと聞こえてたがな・・・・・・・やっと言いやがったか。

「もっとはっきり言わねぇと聞こえねぇなァ・・・・・・・?」


「・・・・・・・・・好きって言ったんだよ、馬鹿

「・・・・・馬鹿は余計だ」

が俺の服から手を放した時、俺はすばやく を抱き上げた。

「なっ・・・・・!」

「俺に馬鹿と言ったんだ、そう簡単に帰すかよ・・・・・・・・」


「お、降ろしてっ! ほ・・・・・・ほら、マリク明日決闘もあるし、早く寝ないと・・・・・・」

「ほおう・・・・だったら今夜は寝させないぜぇ? 覚悟しな」

は一瞬絶望した表情になったが、すぐ諦めたようだ。

「・・・・・・・・じゃ、ひとつだけ頼みがある」

「何だよ」

「・・・・・・好きだって、言ってよ」























 「・・・・ククク・・・・・しょうがねぇなァ」


「・・・・・・・・・・・・・」

そんなに聞きてぇなら、耳元ではっきり言ってやるよ。





  (・・・・・・・愛してるぜぇ?  ・・・・・・)













































(それは、闇の世界と化した心を照らす、一筋の光―――)

























 

 


























































MDS2周年企画に投稿させて頂きました。
書くのに2週間近くかかってしまいましたが・・・・・
マリク視点は難しいですねー。

MDS2周年、本当におめでとうございます。
これからも頑張ってくださいね!!

(『Twinkle -閃光-』  公姫)