「これでもない・・・・・・あれでもない・・・・・・・・・・・」
「何してんだ?」
「あぁ、か」
は衣装箱の中をひっかき回して何かを探していた。
「もうすぐハロウィンだろ?」
「あー、仮装か。 つかお前子供じゃねーだろ」
「いいんだよパーティーなんだから」
「おーおー、シンオウチャンピオン様も多忙だねぇ」
はニヤニヤ笑いながら言った。
「お前も手伝え」
「・・しゃーねーな。 で、どんなの探してんだ?」
トリックオアトリート?
「とりあえず、何かいい衣装ないかなーって」
「・・・・・なるほど、ダサいな」
そこら中に散らかっている衣装を見てが呟く。
「でも結構イイのもあんじゃねーか」
が白い天使の衣装を取り上げた。
「サイズはあってんのか?」
「ピッタリなのとちょっと小さいのしかないと思う」
が衣装箱の中から投げた、黒い魔女の衣装がに当たった。
「んぐっ」
「あ、ゴメン」
「ったく気をつけ・・・・・・・・・・おし
これにしよう」
は、自分の頭に当たった魔女の衣装を広げてみせた。
「却下」
「拒否権ねーぞ」
「私の衣装なんですけどォ!!」
が持っているのは、黒いロングスカートのドレス。
だが、露出度が少し高い。
胸よりちょっと下の辺りのサイドが開いており、背中もほとんど開いている。
「こんなん着れるか!」
「あーそう。 じゃぁこれ」
「すいませんさっきのでいいです」
今度は谷間の部分が完全に開いているものを渡されたので丁寧口調になりながらもの顔にその衣装を押しつけた。
「おっこれよく見たらスリットも入ってやがるぞ!」
「えぇっ!?」
「ますますにピッタリじゃね!?」
は『ハロウィンが楽しみだぜ!』と言って自分の衣装を探し始めた。
は、が去年、まだ無名だった頃に出会ったブラッキー。
最初は手のかかるポケモンだったが、次第に心を開いていった。
「お前一般人に紛れればそのまんまで仮装じゃん十分」
「それじゃつまんねーだろ」
「お前こそ菓子なんかいらねーだろ」
「ん? オレはそんな甘ったるい食いモンいらねーよ」
はきょとんとしてを見た。
「ハロウィンっていやぁ菓子だろ、菓子」
「あ? 何言ってんだ、英語でもあるだろトリックオアトリートって。 トリックの方が先なんだからトリック優先なんだよ」
「オアの意味ねぇ!」
はドラキュラの衣装を引っ張り出すと自分の身体に当てたりした。
「楽しみだな、ハロウィン」
「・・・・・・・・・(さきがおもいやられる)」
は本当に楽しそうにしているをしばらく見ていたが、ある時が少し淋しげな表情をしていることに気付いた。
「
・・・・・?」
「ん、あぁ・・・・・何でも、ない」
10月31日。
「おねーちゃん、トリックオアトリート!!」
「はいはーい、お菓子だよー」
「わーい!!」
地元のハロウィンパーティーに招待されたは、前にが選んだ衣装を着て子供たちにお菓子を配っていた。
「・・・・ありゃ、菓子なくなった・・・・・・どうしよう」
は渡されていたお菓子を全て子供たちに配ってしまった。
「Trick or treat?」
やけに上手な発音で、誰かがを後ろから抱き締めた。
「・・・・・? 菓子はもうないぞ」
「だーかーらッ!
が配ってた菓子はいらねーの!!」
「どうでもいいから離れろよ」
幸い誰も2人には気付いていなかったが、ここにはたくさんの人達がいる。
「・・・・しゃーねーな。 保留ってことで・・・・・」
「え、ちょ!」
はニヤニヤ笑いながらを見下ろした。
「心配すんなって。 い・ま・は! 手ェ出さねーから・・・・・いつか、また会えた時にでも、な」
警戒しているに、はたくさんのお菓子が入ったカゴを差し出す。
「ほら、また配ってこいよ」
「あぁ・・・・・・」
そして、パーティーも終わる。
今は午後5時、辺りも暗くなってきた。
「・・・・・・何か、疲れたなァ」
「だって結構ちっちゃい子の相手してたじゃん」
はと並んで歩き、話をする。
「ま、私もお菓子配ったり遊んだりで忙しかったけど」
「全くだ。 ・・・・・・・オレの
なのに」
空気が、止まった。
「え・・・・・・・・・・・っ?」
気のせいだろうか。
「さっさと行くぞ、」
立ち止まってた私に、がそう素っ気なくしながらも手を差し伸べてくる。
「あっ、あのさ」
「あァ?」
「その・・・・・・・・さっきの・・・・・・・・」
確かに、は何か言ってた。
「何だよ」
「さっき・・・・何か言ってたよな」
「・・・・・ハッ、くだんねー。 行くぞ」
差し伸べていた手をもっと近づけて、は今まで見たことないくらい優しく笑って言った。
「オレの
」
ふ、不覚。
私としたことが、私としたことが・・・・・・・・・・・
こんな・・・・・ときめくとか・・・・・・有り得ねぇ!!
そーゆーいかにも恋する乙女的な表現は私には遠いんだよ。
・・・・・・待てよ、今のは多分幻聴か。
「あぁ、今行く」
私はの手を握って隣を歩いた。
「ったく、オレのは鈍女だな」
「に、鈍女!?」
心 外 だ 。
「否定すんだったらさっさとときめいて抱きついてこい」
「はぁ!? 何だよそれ」
「フン・・・・・・・最後くらいいいじゃねーかよ」
・・・・・・・・最後?
その時、は何か思い出したように足を止めた。
「そういや・・・・・・・・」
「?」
「Trick or....」
何だ、またそれか。
「....kiss?」
・・・・・・・・ん??
ちょっと待て。 脳内回路停止。
ハロウィンに関係ない単語が出てきましたよ?
「・・・・10秒! ハイ、時間切れ〜」
って、短ッ! 制限時間とかあるのかよ!!
「迷ってんだったらどっちもヤろうぜ? ほらもう誰にも見えちゃいねーよ、暗くなってきた」
「え、ちょ、嫌、あぁっ!!」
ここここいつ、わ、私の・・・むむむむむ胸を・・・・・・・・・・ッ!!!
「何しやがんだよぉ・・・・!!!」
「ドハッ!!」
は見事にぶっ飛んだ。 いや、私がぶっ飛ばした!!
「ってぇ・・・・・」
「ってぇ・・・・・じゃねーよ!!」
「はいはい、で・・・次な」
『これが最後だ』
ギュッ・・・・・・・・・
(え・・・・・・)
―――ちゅっ
『お前といた1年、楽しかったぜ』
「!!」
もう、そこにはいなくて。
「・・・・・・?」
もちろん返事なんてなくて。
「、どこ行った!?」
ヤバい、気配がない。 完全に消えてる・・・・・・・・・?? そんな!!!
「
、
、
ッ、」
・・・・・・・こんなの、ないよ。
どこ行ったんだよ、。 あの笑顔は、あの声は、あの瞳は、どこへ消えたんだ。
「・・・・ずるいよ・・・・・・・・・・・・・・・・」
最後だなんて、
最後だなんて、
「楽しかっただなんて・・・・・・・・・・ッ!!」
『ドスン』
「!?」
『バタッ』
急に芝生に倒れてしまった。
誰かに押し倒されたみたいに・・・・・・・・って、えぇっ!?
「へへ、を襲うために帰ってきたぜ!!」
「・・・・・・
・・・・・・・ッ!!」
我慢していた涙が、一気に溢れ出してきた。
「・・・・今までどこに・・・・・・・・・・・」
「んー、気配消して木の上にいた」
「最後とか・・・・楽しかったとか・・・・・・・・・」
「あぁ、それ嘘」
はニヤリと笑いながらもサラッと言ってのけた・・・・・・・
「・・・・
の・・・・・・・・・バカバカバカバカバカッ!!!」
多分、今までで1番酷く涙を流して泣いた。
「ハロウィンはエイプリルフールとは違うんだぞバカァァァァ!!!!」
「・・・・やっぱ、当日前からそれっぽい雰囲気出してりゃ信じるよな・・・・・いたずらのつもりだったんだけど」
・・・・・・ぐす・・・・・・殴ってもいいですか。
「このオレがに手ェ出す前に消えるわけねーだろ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「まだ怒ってんのか?」
「・・・・・・・あんだけ酷いいたずらしたんだ、菓子なんか絶対やらねー」
「あっそう。 じゃぁ代わりに喰わせてくれよ」
・・・・・何だろう。
「・・・・・・・・
を喰わせろ」
「笑えない冗談だな」
マッハパンチ、とびひざげり、ちきゅうなげ
格闘技のオンパレード
(いてて・・・・・・・そのうちこいつ、ほのおのパンチとか編み出しそうだ)
あとがき
急展開です。 何故ならギリギリで書いたから。
擬人化ブラッキー夢です。
こんなのでよければ、どうぞ。
(フリーの期間は特にありません。 お持ち帰りについてとかは5000フリー夢見てください。)