「ずっと傍で連れて歩く」
まだ知らなかった。
この言葉のホントの意味なんて。
つーか、知るかよ。
思いつくわけねーし。
・・・・・・こんなことになるなんてよ。
でも、仕方なかったんだ。
私有物
「野良ポケモン?」
「そ、野良ポケモン」
「それって野生とどこが違うんだ?」
「さぁ、でも野良の方は人型してるらしいよ」
は部屋で知り合いトレーナーのミントと話をしていた。
ポケモンが人の形をとることは、一度人間に渡らないと不可能だ。
だから野良ポケモンは自分を捨てた人間に恨みを持っている者が多いらしい。
「とにかく今問題なんだって」
「ふーん」
「も気をつけた方がいいよ、野生より頭もいいんだって」
とは言われたものの、はそれほど気にする様子もなく、そのあといつも通り草むらを歩いていた。
『ガサ・・・・・』
「!?」
はモンスターボールを構えた。
「・・・・なんだ、普通の野生ポケモンか」
はポケモンを捕まえると、草むらから出て次の目的地に向かうため、街へ行った。
「お嬢ちゃん可愛いね、俺たちとどっか行かない?」
「悪いとは微塵も思ってねーが断る」
は何人かの男に囲まれていた。
「こいつ・・・・生意気だな」
「あ、ちょっ!!」
は男に両腕を掴まれて裏通りに連れ込まれた。
これではポケモンに助けてもらうこともできない。
「・・・・あ、よく見たらお前チャンピオンじゃねーか!?」
「さすがのチャンピオンもポケモンがなきゃただの力無しの女だな!!」
「こいつのモンスターボールは高値が付くぜ・・・!!」
「や、やめろ!!」
しかし、押さえつけられては何もできない。
は必死に抵抗するが、こう何人もの男に押さえつけられていれば、無力に等しかった。
男の1人がのモンスターボールをベルトから外し自分のポケットの中に入れた。
「返せ!」
「さて、こいつはどうするかな・・・?」
その時。
「てめーら・・・何やってんだ?」
現れたのは、黒ずくめの背の高い男。
黒ずくめといっても、胸はV字に大きく開いていた。
腕や首などに、ジャラジャラとシルバーのアクセサリーがついている。
漆黒の髪から赤いピアスが覗き、その凶悪な瞳は紅くギラギラと光っている。
鋭く尖った牙と爪を持ち、頭から角の生えたその姿は、まるで悪魔か死神のようだ。
「何だてめー!!」
「ただの・・・・・・通りすがり、だ!」
男はあっと言う間に男たちを倒してしまった。
「おいお前」
「・・何だ」
「これ、お前ンだろ」
男はにモンスターボールを投げた。
「『どろぼう』使ってスッといた」
「・・・・・・・・・・・・・・・・ありがとう」
はこの男がポケモンだと分かっていた。
角や色からして恐らくヘルガーだろう。
このヘルガーはが先ほど聞いた、野良ポケモンだった。
「・・・俺が怖くないのか?」
「全然」
「ほう・・・・・・・」
ヘルガーはの顎を持ち上げた。
「お前、名前は?」
「だ」
ヘルガーは不敵な笑みを浮かべた。
(気に入った)
ヘルガーはそう思い、と顔を更に近づけた。
「お前、俺のトレーナーになれ」
「は?」
「条件は2つ、俺をモンスターボールに入れずにずっと傍で連れて歩くこと、もう1つは俺の言うことを聞くことだ」
「何でいきなり・・・・」
「断るのなら噛み殺す」
そしてお前を喰ってやる、というような表情でヘルガーはを見た。
「俺は人間は嫌いだ、だがお前が今1番強いとなれば話は別だ」
「・・・・・分かった」
は仕方なくヘルガーを受け入れることにした。
がヘルガーにつけた名前は、『』。
が悩んだ末に考えついた名前だった。
は、いつもの傍にいた。
を他の男にとられないように。
いつもの肩を抱いて歩き、は無表情での歩く速度に合わせて歩いていた。
「・・・・・」
「ん、何だ?」
「・・・・恥ずかしいんだけど」
「何今更言ってんだよ」
は不敵に笑ってこう言った。
「俺とお前が出会った時からお前は俺のモンなんだぜ?」
「は!?」
「だから壊そうと愛玩しようと俺の勝手だ」
は少し絶望した。
「とりあえず、今日泊まれるとこ探そうぜ」
「てめーどこ指差しながらんなこと言ってんだ、私はまだ15なんだぞ」
「クク・・・まぁいいか」
はポケモンで生活していた。
は家出してきたのだ。
ありったけのお金と、パートナーの入ったモンスターボールを持って。
そして、トレーナーとバトルしては経験値と金を稼ぎ、暮らしていたのである。
「何とか部屋取れたな」
「そうだな」
はを見て微笑んだ。
「・・・さて、と」
は立ち上がって、を横抱きにし、自分もソファに座った。
「な・・・・・・・・」
は素早くの唇を奪った。
優しく触れるだけのキスだったが、はもの足りなそうにを見て意地悪く笑った。
驚いたは思わず身体を離した。
「何で逃げんだよ」
「当たり前だ!つーか聞くな!!」
「あー、照れてんだな、心配すんなすぐに慣れる(つーか慣れさせてやる」
「いや、違うから」
は視線をそらしながら言った。
「ならどうやったらさせてくれんだよ、俺はのことが好きなんだぜ」
「だからぁ・・・・・・・はい?」
の頭の中で先ほどの言葉がリピートされ、は頬を赤く染める。
「愛してる、誰にも渡さねぇ・・言っただろ、俺とお前が出会ってからお前は俺のモンだって」
「ちょ・・・・・・」
は強くを抱き締めた。
「もう絶対に失いたくねぇ、あいつが俺を捨てたのなら、俺はお前を逃がさない」
「あいつ・・・・・・・?」
「そういや、にはまだ話してなかったな」
はに自分の過去を語った。
はシンオウとは別のところで、ある女性トレーナーにゲットされた。
その時は、まだデルビルだった。
その女性はチャンピオンを目指していた。
そして、とうとうリーグで勝ち進み、もう少しで殿堂入り、というところで、負けた。
お互い残り1匹というところで、が戦っていたのだが、負けてしまった。
「相性の問題は別になかったわ・・・この子が弱かったのね、デルビルのタマゴもあるしそっちで最初から育て直しましょ」
そう言って、女性はを捨てた。
そして、野良ポケモンとなってしまった。
は自分勝手な人間を憎んだ。
「あいつは自分に力がないから、強いポケモンに頼るしかなかったんだ・・・俺はそんな奴トレーナーとしてどうかと思うがな」
は悲しそうな目で自分を見るの頭を撫でた。
すると、は自分の背に両腕を回してきた。
「だが、に会えてよかった・・お前は俺の力を最大限に引き出してくれる、俺1人じゃあんな戦い方はできねぇ」
「・・・・・なぁ、お前はそのトレーナーを憎んでるか?」
はを見上げて言った。
「いや、あいつはどちらかというとブリーダー向きでな、俺を強くしたのはあいつだ・・・・最も今はが俺を強くしているが」
「・・・そっか」
は腕をするりとどけ、はの身体から離れた。
「だから俺にとってお前は大切な存在だ・・トレーナーとしても、女としても」
「・・・・・・・・ありがとう」
顔を赤くしてが小さな声で言った。
「疲れてんだろ、風呂入れば楽になるぜ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「もちろん俺も入る」
はぁ、とは溜息をついた。
そして今自分の気持ちを伝えれば浴室で何があるか分からない。
なので今は何も言わずにいた。
は、を兄のような存在で見ていた。
見ていたというより、そう思わなければやっていけなかったのかもしれない。
恋人らしいことをしたのは今日が初めてだが、以前から一緒に風呂に入ったり寝たりしている。
これも『ずっと傍で連れて歩く』ことらしい。
「・・・言っとくけど、のぼせるようなことは絶対にやめろよ」
「・・・・そういや、お前明日で16だったな・・・・・つーわけで躾けてやるよ」
「・・・・・・・躾ける?」
・・・・・微々裏?
つーか何この駄文?
中途半端すぎない?
すいませんホント。
それにしてもヘルガーに頭なでられたら私もうどうなっちゃうんだろう(ぉぃ