「お嬢様・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・聞くだけ、聞いてほしい」
私が、どういう存在なのか。
「私は・・・護衛の依頼を受けたわけじゃない。 依頼書だって、見たことさえない」
・・・相変わらず、俯いたまま、か。
「あの2人は途中まで勘違いでお嬢様と旅をしてきたけど、私は違う。 私は・・・・お嬢様が正真正銘のベルリッツ家の『お嬢様』だって、知ってた」
「っ・・・・・」
反応、したかな・・・・?
「最初は、興味本位でついてったんだ。 ってか、あの2人で大丈夫かなーって、実はちょっと思ってた。 実際、2人は強かったけど」
「・・・・・・・・・・」
「・・・あの2人も私も、護衛の訓練なんて受けちゃいない。 ポケモンの腕は引けを取らなくても、それだけじゃ守りきれないって分かってる」
でも、それでも。
「・・・・・私『達』は、アンタの護衛を続けたい」
「・・・・・・・・・・・・」
「言いたいことは、それだけ。 じゃ」
・・・・・長いこと、喋っちゃったけどさ。
「・・・・・・・・・・」
「大丈夫かなァ、お嬢様」
「うん・・・・あれからもう8時間、ずっとああしてる」
何もかも真っ白(もしくは真っ黒)になって放心状態なのか。
それとも、心の中で葛藤を続けているのか。
「ショックで・・・とてもじゃないけど、オレ達とは一緒にいられない・・・だけど、お父さんがああなってる以上、ジムから離れるわけにはいかない」
「せめて一言声を・・・「やめろダイヤ!!」
「・・・・パール」
「お嬢さんを傷つけたのはオレ達なんだ。 オレ達が行っても何もできない! できっこない!!」
・・・・・ヤバい、私さっき声かけるどころか長々と語っちゃったよ。
今は、トウガンさんが行ってるみたいだけど。
「・・・・・・・」
「身体によくないよ、そろそろジムに帰ろう」
トウガンさんが、お嬢様に声をかけた。
お嬢様は、多分・・・今後の旅について聞いてるんだろうな。
でも、さっき話してるのを聞いた。
『旅は中止』・・・・・と。
理由は、危険だから。 まぁ、当たり前だろう。
親の心子知らずとか言うが、人の親でも私だって分かる。
めちゃくちゃ悪質なギンガ団が暗躍してる中で娘に旅なんてさせたくないだろう。
「百歩譲って旅に出すにせよ、それはこの一連の事件が解決してから・・・・しかも、きちんとプロの護衛をつけ直したうえで、と、おっしゃっている」
そして、お嬢様はマサゴタウンへ。 2人とはここで別れることになる。
2人にも自分の家に帰るよう、言うつもりらしい・・・・もち、私にも。
だが、それは非常に困る。 断じて阻止せねばならない。
この世界に恐らく私の家はない。 家がない以前に、私の存在意義がなくなる。
・・・・・私は、ここからいなくなる。
その晩、私達はこれまであったことを全て伝えた。
一晩かけるほど、たくさんのことを。
全部きちんと伝えたんだ、目撃した者の責任は果たしたんだ・・・とパールは言ってる。
その間も私は何とかする方法を考えてたけど、どうもいい方法が浮かばない。
全ては、お嬢様自身にかかってる。
「この図鑑もポケッチも、返さなきゃな・・・・・」
「そうだね〜・・・・・・」
「そういや、
のはどうなんだ? もとから持ってたみたいだけど」
「私の? ん、もとから」
・・・・・ここまで来て、この2人だって私のこと、少しは不審に思ってるんだろう。
身元不明だからね。 つか、本来いないはずの人間だからね。
・・・・・・・それにしても、もしお嬢様があのまま家に帰ったらどうしよう。
この先のストーリーをいくつか考えてみた。 まぁ私が介入してるから普通にはいかないだろうけど。
@お嬢様がまた旅に出ることを決意
Aダイパコンビだけでギンガ団討伐(?)の旅、途中からお嬢様参戦
B数年後、新たな主人公(いや、これはねーよ)
もし私が入ったことで世界が変わって、もう誰も旅に出ないようなことがあったら、私1人でも行ってやる。
そうだよ、ゲームだって考えてみれば1人じゃん。
シロナさんだって動いてるし、警察も捜査に乗り出したりするんだろう。
でも、私がギンガ団をぶっ潰すことが、私の存在意義だとしたら。
私はまだ、この世界にいられる。
ポケモン達と別れたくない。 できれば、パール達とも別れたくない。
でも、一緒の世界にいるだけでいい。
ギンガ団がボスを失い活動できなくなれば、今度こそ私は消えるんだろうけど。
「・・・・・・・
!!」
「のわっ!?」
「ったく・・・・さっきから声かけてたんだぞ? どうしたんだよ、難しい顔して・・・」
「いや・・・・まぁ」
まただ。
また、
が消えそうな感じがした。
本人は百面相してたけど、絶対間違いない。
ここは思い切って聞くべきなのか。
「『
はどこに行くのか』って・・・・・・あっ」
「っ・・・・パール?」
どこに行くのか、か。
この2人も、薄々気付いてたのかもしれない。
「えーっと・・・その・・・・お前は、」
「ねぇ〜、
はヨスガシティに帰るんだよね〜?」
あ・・・・ダイヤ。
・・・・・・・違う、私は。
「・・・あのさ、聞いてほしいんだけど」
「・・・・・・何だ?」
「・・・・もし、旅が終わって、皆が帰ったら。 私には、もう会えないよ」
「「・・・・・・!!」」
今ここでじゃなくても、『旅が終わったら』・・・・
何度も言うけど、私がここにいる必要はなくなる。
チャンピオンだったらシロナさんがいる。
不要物は、排除されるのみ・・・・・自分でも悔しいけど、こんな言い方。