27.偽り無き思い
プラチナは夢を見た。
突如起こった爆発により、仲間達が倒れる夢を。
ギンガ爆弾は、1週間後爆発すると。
プラチナがそれを知るのは、運命だったのかもしれない。
そう、この物語が新しいページへと進むための・・・・・
そういえば、話をしているとき突然、2人を閉じ込めていたオリが消えた。
「何が起こったんだろ・・・・?」
「早過ぎるよね。 遮断力なくなるの」
そんなことを話していたのだが、とりあえず話の続きをしたんだった。
でも、今考えると・・・・何かあったんじゃないかと思う。
結局お嬢様は来なくて、ダイヤもパールも私も、出発しなくてはならなくなった。
あの気まずい空気は消えることなく、私達は会話らしい言葉を交わしていない。
「・・・・・それじゃ、トウガンさん、行きます」
「色々すいませんでした」
「会っていかなくていいのか?」
・・・・・私達は、お嬢様には会わないと決めた。
これはパールの意向だけど、別に私は反対しない。
みんな、辛い。
でも、これは・・・・・・・お嬢様を傷つけた、報い?
「これも・・・これも、返さなきゃ、な。 本来・・・・オレ達が受け取るべきものじゃなかったんだからな・・・・・・」
「・・・・・・パール」
「のは、もとからだろ? 返さなくて、いいと思う」
2人がポケッチと図鑑を博士に差し出す。
「これ・・・お返ししま・・・・・」
『ピピピピピピピピ』
「「「!!」」」
図鑑が・・・鳴ってる!?
え、だってこれ、図鑑同士が近づく時に鳴るんじゃ・・・・・あっ。
「お・・・・お嬢さん!!」
き・・・・・来たああぁぁぁーーー!!!
「お父様、ナナカマド博士、お2人の考え、聞きました。 ダイヤモンド、パール、さん・・・・あなた達の考えも」
あ、ちょっと見られた気がする。 『さん』付けのせいか?
「でも、まだ当事者である私の意見が出ていません」
お嬢様は、文章を読み始めた。
「『私は昨日あなた達の前から逃げ出しました。 聞かされた真実を受け入れられず、誰も信じられない思いで一晩を過ごしました』」
つっかえることなく、お嬢様は淡々と文章を読んでいる。
「『思い出すのはこの旅の間に起こったひとつひとつの出来事。 この旅は・・・楽しかった。 本当に楽しかったのです』」
・・・・・これが、お嬢様の気持ちだとしたら。
「『今まで知識でしかなかったたくさんのことを実際に体験できました。 そしてそれができたのは、危険から全力で私を守ってくれた3人がいたからです』」
お嬢様は、その時だけ顔を上げて私達の方を見た。
「『パール。 ダイヤモンド。 ・・・・・・・・
』」
え、今の間は? つか、今『さん』が・・・・・取れてる。
「『あなた達を嘘つきと罵りましたが、振り返れば私も嘘つきでしたね』」
私達は顔を見合わせる。
「『コトブキシティのホテルで笑ったのに「笑っていない」と言いました、あれは嘘です』」
「『森の洋館で「ヨウカンをよう噛んで食べる」と聞いて笑いました。 なのに「笑っていない」と・・・これも嘘です』」
「『サイクリングロードで自転車に乗れないのに「乗れる」と言い張りました、明確な嘘です』」
「『クロガネの炭鉱で石炭を掘る練習をしていたのに「していない」と言いました、あれも嘘です』」
「『トバリシティで図鑑をなくしたとき、置き忘れた場所がゲームコーナーと分かっていながらそのことを隠しました、まぎれもなく嘘です』」
「『ヨスガのコンテストでは自分の意気地がないのに「妨害のせいで、棄権する」と言いました。 微妙に嘘です』」
「『ウラヤマさんのお屋敷ではホテルだと思い込んで確かめもせず上がり込んだのにそれを認めませんでした、これも嘘です』」
・・・・『嘘です』のバリエーションがなくな・・・・じゃなくて。
お嬢様なりに、色々振り返ったんだろうな。 この旅のこと。
「『この25日間のなかであなた達には何度となく嘘をつきました。 素直に認め真実を伝えるのが恥ずかしかったのです』」
分かる、分かるよお嬢様。
お嬢様がこんなに頑張ってるのに、まだ自分のことを隠してる自分が、情けない。
「『ごめんなさいこれからは偽りません、偽らず伝えていきます。 今の私の偽らない気持ち・・・それは・・・・・・これからもこの3人にいてほしい、です。 シンオウの危機に立ち向かう人はもう他には考えられません』」
お嬢様は最後にもう一度前を見て、迷いのない瞳でこう締めくくった。
「『私の3人の騎士へ。 プラチナ・ベルリッツ』」
私は思わず泣きそうになった。
お嬢様の決意が、伝わってくる。
「お父様、博士、トウガンさん」
真っ直ぐな瞳には『覚悟』を灯して。
「旅は続けます、悪を挫くために! 1週間後湖をバクはする爆弾から、狙われている3匹の伝説ポケモンを守るために!! この私が!!」
・・・・・・私も、そろそろ覚悟を決めた方がいいのかもしれない。
どうせ、隠し通すなんてできないのだから・・・・・・・・・
← ○ →
Created by DreamEditor