私は後悔している。

終わりを望まなかったことを。

私は後悔している。

終わりを拒んだことを。

私は後悔している。

異端の眼を持ったことを。











 今日、転校生が来る。 へぇ、そうなんだ。

そんなやり取りをしながら、私は空を見上げた。

今更転校生ぐらいじゃ驚かない。 それ以上の体験もしたことがある。

もう大分見慣れた空。 昔、昔からずっと変わらず、これからもずっと、ずっと変わらないであろう空。

そのうち先生が来て、転校生も入ってくるんだろう。

この世のほとんどのことは想像がつく。 あぁそういえば、青色発光ダイオードに驚いた記憶はある。

予想通り、先生が来て、転校生が入ってきた。

「彼らは今日からこのクラスに入ることになった。 皆、何か聞かれたら教えてやるように」

女子からはキャーキャーという声。 やっぱり、ね。

「・・・・城島犬れす」


ワオ、滑舌が見事に悪い。 頭は良さそうな感じじゃないね。

「・・・・・・・柿本千種・・・・・・・・」


猫背だなぁ。 あのバーコードは何だ。 とりあえず成績はよさそうな感じ。

「・・・・六道骸、といいます。 皆さん、よろしく」


ふーん、礼儀正しいんだ。 声もなかなかいいんじゃないの?

あ、まだ顔見てないや。 どれどれ・・・・・・・・っ!?

「・・・・・クフ、」


・・・・・あの眼・・・・・・

綺麗な青い左眼。 それとは対照的に、血のように紅い右眼。 右眼には『六』の文字。

・・・・・何とも私の嫌いな組み合わせだ。

・・・・・・・・・・・では、六道くんは・・・ の隣に」

「へ」

・・・・あぁ、席ね。 ボーッとしてた。

「・・・・私は、。 。 よろしく、六道くん」

さん・・・・というのですか。 よろしくお願いします。 あと、僕のことは骸、と呼んでくれて構いませんよ」

「・・・・骸?」


「クフフ、そうです」

口調に似合わずフレンドリーだな。 でも、こういうタイプの奴は何度となく目にしてきた。

必ず、と言ってもいいほどに。








 「 、輪廻を・・・前世というものを信じますか?」


「ん?」

ここは黒曜ランド。 何故か知らないけどここに呼び出された。

お互い名前を呼び捨てで呼ぶようになってしばらく。 骸がそんなことを聞いてきた。

・・・・私にとっては愚問。 だけど・・・タチが悪いね骸。

「それは、お前が1番よく知ってると思うんだけどね、骸」

「おや・・・・そうでしたか」

「いや、そうでしたか、じゃなくてさ。 実際、骸はそうなんだろ」


「クフフ・・・・やはり、あなたには意味のない質問でしたか」

それだけさらけ出していれば、私には嫌でも分かる。

骸がどういう存在か。 その右眼の意味さえも。

「あなたも、僕と同類だと・・・思っていたのですが」


「・・・・・やっぱり、分かっちゃうモンなんだ。 カラコンはあんまりしたくなかったんだけど」

私の青色の瞳。 元から青い眼に青のカラコンをするのはどうかと思ったけど、私の右眼は。

「・・・・・紅い右眼」


骸と同じ、眼。

「あなたのことは、転校してきた時から気になっていましたよ、

「そりゃどうも」

「あなたはスキルを使うこともなく、ただ永遠に繰り返される生を意味もなく過ごしている。 違いますか?」








 私も骸と同じ。 何回も生まれ変わって、とうに知っていることを学んだりした。

1回目は、人間の女。 私の『ベース』。

私はその時から変わらない精神を保て・・・・ていたらいい。

死に際に思ったこともはっきり覚えてる。 忌々しい。

『もっと生きたい』 『こんな人生嫌だ』 『やり直したい』

・・・・・・カミサマは、そんな1人の女の願いを、おせっかいにも叶えてしまった。


自分も、当時は死に物狂いで(いや実際瀕死だったわけだが)願ったものだけれど。

2回目も、人間の女。 ただひとつ違ったのは、その人生が丁度今の私くらいの歳で終わってしまったこと。

その時は、自分は特別なんだと、ウキウキしてたのを覚えてる。 でも私は病弱で、すぐ死んでしまった。

3回目は猫。 飼い主はかわいがってくれたけど、私が子猫のうちにに死んでしまった。

そのあと私はしばらく親戚の人に育てられたが寿命が来てしまった。

4回目は結構幸せだった気がする。 確か鳥だった。

気に入ったオスと楽しく空を飛び回ったけど、やっぱり先立たれてしまった。

5回目は人間。 男だった。 結構初めてなことだったけど、あんまり変わらなかった。

今その辺で走り回ってる男子と大して変わらない。 あーそういや大人っぽいとか言われてたような。

確か親友がいたな。 私、いや当時の俺と同じく落ち着いてて、優しい。

6回目は、今。 今の私、『 』。








 「・・・・あなたは、幼い僕に言いましたよね」

「?」

「覚えていませんか・・・・・いいでしょう、言われたままに繰り返します」

会ったこと、あったっけ。 あぁもしかしたらどこかの輪廻で会ったのかも。

「・・・『死んだこともないくせに、生を実感できるっての』・・・・・でしたっけ」

「!!」


その言葉は確かに覚えがある。 確か、2回目。

もう長くないと医者から言われた日、だったかな。 3日後にぽっくり死んじゃったけど。

「あれは、あの時の僕に向けた言葉、でしたね?」

「・・・・うん」

じゃぁ、あの時のが、今の骸・・・・・・!?













 『・・・・君はもう、長くないんですね』

『・・・・そう、だけど』

『実は、僕も。 死には至らぬ病ですが、もう治ることはない、と』

『ふーん、よかったじゃん。 私なんて、明日死んでてもおかしくない』

『そうですか・・・』

『・・・・・・・あーもー、ひと思いに死んじゃいたい。 生まれ変わったら健康になりたいな』

『なっ・・・何を言ってるんですかっ・・・生きていることがどんなに素晴らしいことか、分からないのですか!?』

『そりゃ・・・私も生きててよかったって思ったこともあるよ・・・・・・・・・でも、君はさ、』






『死んだこともないくせに、生を実感できるっての?』



















 「・・・・・後悔、してる」


「何を・・・ですか」

「生にすがったこと。 もっと全うな人生を生きたかったと願ったこと・・・・」

本当は、もうやめたい。 これ以上輪廻を彷徨うのは嫌。

スキルだって私には何の使い道もない。 使えば皆に忌み嫌われるかもしれないし。

「もう・・・・『私』を捨てたい。 記憶を全部洗い流して、出来れば輪廻から消えたい」

「・・・・・クハハハ! 何を今更・・・・・・・」


「?」

何故そこで笑うんだ。

「そんなことはさせませんよ。 あなたは永遠に僕と共にいる運命なのですから」

「は?」

「何度も探しました。 初めて出会った時からあなたを好きでいましたからね」

「!!」


初めて・・・・というと、病院で・・・・・

「次の輪廻でも、そのまた次の輪廻でも、・・・あなたは僕と一緒です」

「・・・・・・」

「僕はあの後、来世でもあなたと巡り会うことを望んだ。 その結果、今の僕がいるというわけです」

・・・・・・・それで、6回目まで追いついてきたんだ。 私無駄に長生きしたからなぁ。

「本当は、もっと早くに会いたかった。 真実を伝えたかったのですが・・・・・・」






 「もう、離しませんよ。 は唯一・・・僕の愛しい、人ですから」

「・・・・・・骸・・・・・・?」


「あなたに拒否権はありません。 僕はスキルを持っていながらそれを使うことをしなかったあなたとは違いますからね」

実力行使? いや、何か違う・・・・

「あなたが僕を拒むというなら、身体で言うことを聞いてもらうしかありませんから。 あなたにマインドコントロールは使いたくない。 あぁもちろん、あなたを傷つけるようなことはしませんので、ご心配なく」

「・・・・・・・・・・・・」

・・・・何てこった。 とんでもない奴に、目をつけられていたとは。

「さて、手始めに・・・・あなたを完全に僕の虜にして差し上げましょう」

「え? え? えぇ!?


目の前には骸、背後にはソファ。 逃げ道はない。

「・・・・・〜〜〜っ!?」


「・・・・・クフフ・・・・・・いい子だ」












 私は後悔していた。

終わりを望まなかったことを。

私は後悔していた。

終わりを拒んだことを。

私は後悔していた。

異端の眼を持ったことを。



何故なら・・・・こんな存在であることに飽きていたから。

そして・・・・・・・もう、一生私の自由はないことを知ったから。

でも、そんな私のこれからの人生に、半ば強制的ながら目的ができた。






 あの人を探し、あの人とその生を共に過ごすこと・・・・・
















もう、後悔なんてしたくないよ







































































お題にしては長すぎですね。 特に君に〜シリーズはあっさり系ですから。
2回目〜5回目の鳥とか飼い主とか親友とかは皆骸なんじゃないでしょうか。
気付かないヒロインもヒロインだとは思いますが・・・・・
昔は骸は別にすごく好きというわけじゃなかったのですが、最近ハマりました。
輪廻ってなんだろう。
オッドアイと黒曜中の制服が描きたくなった